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歴史民俗研究会の伝統文化を訪ねて

−「雄島(おしま)さん参り」−
(平成20年5月30日、本紙掲載)


賑わう老人嶋神社  小橋の浜では大勢の人が見送るなか、色とりどりの大漁旗と老人嶋(おいとじま)大明神と書かれた赤い幟(のぼり)を沢山なびかせた船が、笛や太鼓を囃子(はやし)ながら湾内を大きく3回廻ったかと思うと、全速力で沖の冠島を目指して走り去りました。そう、今日は6月1日。水産庁が「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産100選」に指定した小橋・三浜・野原地区の雄島さん参りの日です。  成生岬より北北西9.3キロの沖合に浮かぶ冠島は雄島さんと呼ばれ、オオミズナギドリの繁殖地としてよく知られています。島は国の天然記念物に指定されているため、普段は上陸禁止になっています。しかし島には漁師さん達の信仰が厚い老人嶋神社と船玉神社があり、若狭や丹後地域の漁師さん達が、大漁と海上安全を願って参拝する雄島さん参りの日だけは上陸が許されます。  地域ごとに参拝日は異なりますが、島の所有権を持つ小橋・三浜・野原地区では、6月1日に雄島さん参りが行われます。  船で囃される笛や太鼓の音は私達の心を高揚させてくれます。また猛スピードで走るのは雄島さんに一番乗りするためだそうです。島に着くと小橋から持ってきた大きな石を「ナムエビス」と言って海に放り入れます。大漁祈願と共に古くから海難避難所として利用してきた島を、やせ細らせたくないという思いがあるのでしょうか。  若狭や丹後の漁師さん達が奉納された幟が林立する老人嶋神社で厳かに祭礼が行われ、その後懸鯛(かけだい)を持って船玉神社へ、そうして浜で地区ごとに直会(なおらい)が催されます。海の幸とお酒がたっぷり用意され、参加された方達は青い海と海の幸のおこぼれを目当てに飛び交うウミネコを眺めながら談笑されます。一幅の絵・夢のなかにいるような非日常の時間が流れていきます。  女人禁制も昔ほど厳格ではなくなり、私なども参加させていただきましたが、地域からの女性の参加は小学生を除いて今もありませんでした。(も)

写真上=参拝者で賑わう老人嶋神社
写真下左=石を叩いて船玉神社へ参拝
写真下右=直会風景


船玉神社へ参拝 直会風景
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