夏越祓(なごしのはらえ)は、6月30日に多く行われる祓行事で、名越祓、夏祓、水無月(みなづき)祓、茅(ち)の輪(わ)くぐり、輪越神事とも呼ばれています。これは、1年の折り返しの日に茅の輪をくぐって、半年間の罪や穢れを祓い、残りの半年の無病息災を祈るものですが、もともとは夏に流行りやすい悪疫を避けるための呪的儀式です。
茅の輪は、茅(かや)や藁(わら)などを束ねて輪にしたもので、菅貫(すがぬき)とも言います。この輪をくぐるにも独特の作法があります。まず、参拝者は、茅の輪を正面から入って、左へぐるっと廻ってまた正面からくぐり、続いて右へ廻ってまた正面からくぐり、もう一度左へ廻ってまた正面からくぐって社殿へ進みます。横8の字の形に3度くぐります。茅の輪くぐりだけでなく、罪や穢れを移された人形(ひとがた)を神社に納めたり、川に流したりする方法もあります。
西舞鶴の朝代神社では、毎年6月30日に「夏越ノ大祓」として、茅の輪くぐり(一日中)と人形を納める大祓神事(午後六時から約40分)が行われます。「茅の輪守」も授与され、家の門口に飾り無病息災や疫病除けとします。今回、筆者も頂いて門口に掲げました。なお、吉原の水無月神社の夏越祓は、江戸時代中期頃から行われていると言われ、七月下旬に茅の輪くぐりと夜祭りが行われます。
最近は、鳥インフルエンザや口蹄(こうてい)疫などの伝染病が発生しており、茅の輪くぐりの御利益を願う今日この頃です。
(春よ来い筆)
写真上=朝代神社 夏越ノ大祓「母背負い 息災願い 茅の輪くぐり」(春よ来い)
写真下左=門口に掲げられた「茅の輪守」
写真下右=吉原の水無月神社で「茅の輪くぐり」(H14.7.27)
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