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歴史民俗研究会の伝統文化を訪ねて

−「蒲江地区の振物、踊り太鼓 〜その2 踊り太鼓〜」−
(平成22年11月19日、本紙掲載)


「踊り太鼓」  この芸能は、蒲江地区の山王神社の祭礼に、舞堂で奉納される民俗芸能で、「その1」の振物(ふりもん)に続き、「その2」では踊り太鼓をご紹介します。  踊り太鼓は、大太鼓を前中央に据え、それを打つ太鼓打ちの所作を主とする芸能で、トウザイ(東西)1人、シンポチ(新発意)1人、太鼓打ち2人、鼓打ち2人、笛2人、音頭取り3人、歌うたい多数で構成されています。トウザイは小学2年生の男児で、支度は裃(かみしも)姿、白足袋、烏帽子(えぼし)で、扇子を持ち、シンポチの呼び出しにより舞台中央に立ち、扇を広げて口上を述べます。シンポチは、笹と飾り団扇をかざしてトウザイの回りをうろつき、冷やかしたりします。シンポチが曲名を述べ始まりを告げると、音頭取りが歌い出し、歌うたいが続き、太鼓打ちは左右に足を踏み替えながら揃い打ちを始め、鼓打ちも太鼓打ちに合わせて左右に動きながら打ちます。 太鼓打ちの芸打ちを主として「神の踊り」、「ふじの踊り」、「鈴鹿踊り」、「尺八踊」が演じられます。4曲が終了すると、全員が神前に向かって拝礼し、山王神社への奉納が終わります。奉納は、振物が15分、踊り太鼓が30分程でした。その次に、愛宕権現へ同様に奉納されますが、踊り太鼓の演目は「神の踊」、「ふじの踊」の2曲となります。  振物は吉原から習ってきたと伝えられていますが、「良いとこ取りでアレンジしたものではないか」という地元の方の話もあり、確かなことは分かりません。踊り太鼓は、トウザイの口上にあるとおり「笹ばやし」といわれる「風流(ふりゅう)踊」ですが、太鼓打ちの所作は、踊りと呼べる内容ではなく、本格的な風流踊の見られる側踊が欠落した形態となっています。当初からこのような形態だったのか、後に欠落したのかは定かでないようです。  なお、蒲江の振物・踊り太鼓は、京都府の無形民俗文化財に指定されている貴重な芸能です。今回の取材で、役員の方が「この地区も少子化が進んでおり、今年は、男児が行う振物に女児が参加しています。この伝統芸能をいつまで伝えていくことができるのか不安」と述べられたのが、心に残りました。 (春よ来い筆)

写真上=「踊り太鼓」
写真下=「東西」の口上


「東西」の口上
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