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歴史民俗研究会の伝統文化を訪ねて

−「城屋奥山「山之神社(やまのかみしゃ)」の祭り」−
(平成16年12月17日、本紙掲載)


山の神さん  「山の神さん」と親しまれた神事は農山村地区に点在していましたが、最近はほとんど無くなり、数少ない継承地を以前に訪ねました。  西舞鶴市街地から高野川沿いに6キロほど遡上(そじょう)すると、城屋奥山の日浦橋(ひうらばし)たもとにたどり着き、左岸の見事な「もみじの木」の側の細い階段を登ると小さな「祠(ほこら)」が奥山の「山の神さん」です。  祭りは冬休みと春休みの年2回、小学1年生から中学2年生までの男子だけで行われ、今もすべて子供たちで取り仕切り、大人は一切手を出しません。山仕事の無事を願って行うこの祭りを、地元では「お講(こう)さん」と言い、「講」を行う家を「宿(やど)」と呼び、男の子がいる家が持ち回りで2日間にわたり行います。  初日の午後から神社近くの川原で「家建て」と言って、青竹を四角に組み、藁(わら)で囲い1坪ほどの「家」を作ります。この家に「山の神さん」の祠にある丸い石を5、6個持って来て中に置き、これで「山の神さんの家」ができ上がります。夜を待って子供たちが「山之神社」へ参拝した後、川原へ行き、年長者がこの「山の神さんの家」に点火し、「家焼き」神事が行われます。  家が燃え冬空に炎が上がると中の張り竹がポーン!と大きな弾く音がするたびに、「山の神さん、早よう帰って来なよー、家が燃えるでー!」と子供たちは喚声を上げます。これは、秋の収穫が終わり神無月に「万(よろず)の神々」は出雲へでかけており、地元に不在の神さんを早く呼び戻そうとする策なのです。  翌早朝、年長者が夕べの家焼きの跡から神さんの丸い石を取り出し、清流で清め元の祠へ戻します。そのうち子供たちが宿に集まり、昨夜宿で作った「お札(ふだ)」「御神酒(おみき)」「白粉餅(おしろいもち)」を持ち、先達(せんだち)を先頭に厄除けの大蛇にしたてた大縄をみんなでかつぎ、「参見(さんけん)、参見(懺悔・ざんげ、懺悔)、六根清浄(ろっこんしょうじょう)…」と唱えながら「山之神社」へ参拝します。参拝が済めば大縄をかつぎ「お札」やおさがりの「御神酒」などを各家庭へ配った後、大縄は宿の庭木に這わし1年の無事を祈ります。  子供たちは昼と夜は宿でおよばれして、楽しく過ごし遊びの中から地域のシキタリやルールを教わり、人を育てるのにも一役買っているようです。(福)

写真=写真=「山の神さん」の家づくり
写真=「家焼き」神事
写真=「山の神さん」の祠


家焼き 祠
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