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歴史民俗研究会の伝統文化を訪ねて

−「阿良須神社の祭礼」−
(平成17年11月18日、本紙掲載)


杓子舞  志楽小学校前の阿良須神社は、鹿原・吉坂・安岡・田中・小倉地区の氏神様です。阿良須神社の祭礼には、1地区ごとの輪番で、各地区が特色ある伝統芸能を奉納されます。昨年は小倉地区が当番でした。奉納される杓子舞(しゃくしまい)は、近隣の地区でも舞われますが、見ごたえのある小倉地区の杓子舞は、昨年秋の台風23号で本殿と拝殿わきの回廊(幣殿)が甚大な被害を受けたため中止になりました。  現在修覆委員会が組織され、文化12年に再建されたこの地方固有の建築様式として、高く評価されてきました本殿などの修復に、来年9月完成を目途に取り組んでおられます。  今年も伝統芸能は奉納されませんでしたが、一日も早い完成を祈念して、昨年奉納されるはずであった杓子舞をご紹介したいと思います。  10月の最終日曜日の正午に、「正一位一宮大明神」の幟(のぼり)をかかげて宮入です。14段もある石段を、囃子(はやし)方を乗せた屋台が上がるのは見ものです。囃子も、村練りの時に囃される“ほてい”“おかざき”“さんばそう”などから、テンポの速い“ぎおんばやし”に変わります。年長の方が音頭をとられるなか無事階段を上りきり、見ている方もホッとしていると、囃子の調子はいつの間にか“もんがかり”に変わっています。  以前は踊子や振物などの伝統芸能も奉納されていたようですが、現在は囃子・杓子舞・小倉フル宮太鼓・子供豊年みこしが奉納されます。私が杓子舞を拝見したのはここが初めてでしたので、正直驚きました。  男役は白い眉毛と長い髭をつけた天狗のような面をつけ、赤手拭の頬かむりと赤褌のいでたちで、ササラで拍子をとりながら踊ります。女役はおかめの面をつけ、綺麗な着物に姉さん被りのいでたちで、シャモジとスリコギを持って踊ります。  白い眉毛と髭は、初老を少し過ぎた男性をあらわしているのでしょうか。所作は、一昔前のセクハラの大好きな男性のようです。対する女性は、恥ずかしがり屋で初々しく、姉さん被りの顔をようあげない、一昔前の10代の花嫁の所作でしょうか。こんな2人が、五穀豊穣を願って心を込めてコミカルに精一杯奉納されます。「神様はエッチな事がお好きだから…」と。  私は、知り合いの方を誘ってはあちこちの祭に行きますが、皆さん「すぐ近くに住んでいるのに…、何十年も住んでいるのに…、こんな事が行われていたなんて…、知らなかった!」と、驚きの声をあげられます。  内心「また舞鶴大好き人間が生まれた」と嬉しくなります。(も)

写真=奉納される杓子舞
写真=14段の石段を上がる屋台


屋台
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