「きつね狩りそーろ〜(候) わかみやのまつりとて きつね狩りそーろ〜 われはなんじゃそーろ〜」と歌い、地区の境に来ると「こっちらへ、ようこまい〜」と、夜を待って闇の中を大声で唱和しながら、提灯(ちょうちん)を手に手に子供たちが地区の境を廻ります。これは1月14日の夜に「狐狩り」という青井地区に昔から伝わる子供たちの行事です。
青井は舞鶴湾の一隅にあり、豊かな自然と海に面した静かな半農半漁の地区で、伝統的な民俗文化がいろいろ伝承されている地域でもあります。
狐は肉食動物で家畜の鶏を襲ったりして、昔から悪い事をするものの代名詞として人々に嫌われていますが、青井では乳幼児を襲うといわれていました。狐に対しては地区の外へ追い出そうとする思想と、「お稲荷さん」のように神の使いであるとして丁重に扱うものとがあります。
いずれにせよ、悪さをする狐は村から追っ払うか、あるいは社(やしろ)に祀って閉じ込めてご機嫌をとり、人里に寄せ付けないようにしたいと考えていたのではないでしょうか。
「狐狩り」とは狩猟(しゅりょう)するのではなく、青井地区では赤や黄色の色紙を張った手作りの四角い提灯の明かりをたよりに、夜道を照らしながらお題目を大声で歌い、ここは人間さまの領分だぞ、人間さまの縄張りに入るなよ!と威嚇(いかく)しながら狐を山に追いやる所作(しょさ)なのです。
このような行事は舞鶴のあちこちの地域でも、「狐狩り」とか「狐がえり」と言って、それぞれ特色を持ちながら同じ時期に行われているようです。(福)
写真=狐狩りの歌を唱和しながら廻る(平成14年・2002年1月)
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