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NO.35 灯明照らす「常夜燈」(京口)   

 その昔、京街道の京口を歩くと当時を語る風情あり…引土から寺内へ。K旅館の先には常夜燈が1基、今もなお、そこに建っている。高さ約2メートル、台座30センチ、材は柱が栗で灯籠は観音開きの檜づくり。しかも夜になると、町内隣組8軒によって毎日絶やすことなく、愛宕山の秋葉権現様に向かって、ローソクの明かりが灯されているという。これにはわけがあった―。ときは昭和8年7月10日未明。「わら灰」が原因で火災が発生。隣組民家7軒が大火に見舞われたのである。以後、火災から守る防災祈願として、点灯を復活させ今日へ。その順番は竹の棒先に木製の当番札を回して決まり、明かりを入れると「奉祈念・秋葉三尺坊火災消滅所」の御札が浮かぶ。これらの常夜燈は、明治の初期、秋葉信仰で各町内に30余り建立されたが、残っているのは京口、平野屋と西町の3基だけ。中でも灯明を照らす「常夜燈」を絆で支える風俗の伝承には頭が下がった。

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