大浦半島にある多禰寺は、遠く飛鳥時代に起源を持つ真言宗の古刹、萩の寺として有名である。石段を登りつめた山門で阿形、吽形の金剛力士像と体面し真っ直ぐ本堂へ。左側には、日本最大級の仁王像などの重要文化財が収蔵されている宝物殿があり、ここが「萩苑」の入り口―。中へ入ると、緩やかな下りにカーブを描きながら、背丈ほどの枝先から房状に咲いた300本のシラハギが、境内全域に広がる別天地…。ループして巡り、やがて山門に続く白萩の帯は、まさに「萩の回廊」そのものである。今から8年前、休耕田の活用として白萩を植栽、春先には株分けをし続けて今日の萩苑が誕生した。また、本堂の1尺5寸のハギの丸柱に因んで「萩苑」と命名し、明るくて優しさと清純のイメージから、敢えて白萩が植えられたという。萩はマメ科の多年草で七草の一つ。9月初旬から彼岸にかけて咲き続く。中国の易経に「天地万物はすべて陰・陽の気から生じ、相反する性格を持つ」とあるが、何故か陰の秋と陽の白い萩のハーモニーが美しい。「確かな萩」をここに見た。(寺には多くの文化財、史跡、古庭園があり、周囲一帯はハイキングコースとして最適。道に沿って88カ所地蔵めぐりもできる。)
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