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NO.54 松尾寺の「イチョウ(銀杏)」(松尾)   

 西国霊場第29番・松尾寺の御詠歌に「往昔(そのかみ)は幾世経ぬらん便りをば、千歳もここに松の尾の寺―」へ。国道沿いから2キロの参道は、近畿自然歩道指定のハイキングコース。荘厳な山門をくぐり、凝灰石(ぎょうかいせき)の石段を登った右側鐘楼(しょうろう)の横に、樹齢880年と推定される巨大なイチョウの木が立っている。市指定の天然記念物である。寺伝では、1119年(元永2年)鳥羽天皇が落慶法要でお手植えと伝え、幹周り5.2メートル、高さ30メートル、根周り6メートルの巨体。幹には古木特有の乳房を思わす気根(きこん)が10数個も発生し、この木を「乳垂れ」と呼んでいる。10年ほど前の台風で大枝が折れ、平成5年9月、樹医により総合的な蘇生、延命治療が施され、今では元気いっぱいに。イチョウは中生代には地球全体にあったが、現在は日本と中国だけに残ったという「化石植物」。境内にはほかに八本のイチョウやモミ、カヤ、松などの大樹が繁り、霊場の歴史を物語っている。また、参拝入口に食堂や無人販売所もあり、松尾特産の梅干し、いも、ごぼうなど民家22戸の「もてなし」がうれしい。このコース!イチョウの色づきに合わせ、ススキもコスモスも秋を束ねて「おいでおいで」…。

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