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NO.57 「鷲にさらわれた子」良弁親子対面観音像(西の松林寺)   

 田辺藩ゆかりの3社9カ寺のひとつ松林寺へ。境内の観音堂には、奈良時代に根ざす良弁(りょうべん)僧正の母子作「親子体面観音像」が祀られ、親子の愛情を語りかけている。物語は「こころの文庫」(全日本教育研究会発行)の中にもあった。昔、ある所で子どもが鷲にさらわれた。それから母親は、13年も我が子を探し求め、ついにあるお寺の和尚さんに拾われ、育てられた修行中の息子にめぐり逢える。その時、自分の子と確認できたのは、着物の襟に縫い込んでいた観音さまの御札であった…と。鷲は猛鳥なるも親子の愛情が最後には打ち勝つ教訓と、奇縁は信仰によるとして仏教説話集の日本霊異記に載せられ、寺には絵巻物も残っている―。聞き伝えであるが戦時中の出征には、一日も早い親子対面への祈願が絶えなかったという。今でも参拝すると、出産が短く無事に母子対面できるとの「意」から、短い残りローソクと親子対面観音の御札を受ける安産祈願者が多い。この観音像は木製。若狭で彫られ、一体は奈良の二月堂にもある。今年の世相漢字は「帰」。いつの世も切っても切れぬは親子の縁。「親子対面」の願いが届きますように。

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