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NO.64 代命地蔵尊<みがわりじぞうそん>(五条海岸)   

 舞鶴東港を望む緑地しおじプラザは憩いの広場。シーズンには定期船や湾内めぐりでにぎわう、その東側に4本の椎の木に囲まれた静かな一角がある。日陰で最適の場所なるも、そこには2体の地蔵尊が。思わず何故ここに、と問いかけたくなるのだが…こんな縁起が秘められていたのである―。昭和36年ごろ、五条海岸防波堤工事のとき、散歩中のS氏が土中から掘り出された首なし地蔵の石仏を発見。以来、風雨にさらされた姿を見た心ある人々によって、この場所を清掃したのが始まりという。しかもS氏は、地蔵尊の首のない姿に心を痛め、倉谷の石屋に駆け込んで何とか五体満足なお地蔵様にと懇願。やがて顔面約8センチ、全長40センチの優しい姿の地蔵菩薩が、見事に復元されたのである。さらにS氏は、高さ35センチのもう1体を隣に安置した(同38年8月26日開眼)。それ故、縁起札には滋(ここ)に代命(みがわり)地蔵尊と奉名し、永久にこの地鎮(しず)まりて加護あらんことを念願する次第…と記されている。地蔵尊の身代わりとは、仏様の代わりに人々を助けて下さるとあり、交通安全・海上安全・人命守護のご利益は大きく、地蔵盆はされないが毎日の参拝者は絶えない。S氏とは、故其田寛氏、補導員など地域社会に熱く貢献された御仁。やはり「この人にして、この行動あり」か、と感服するのみ。

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