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NO.66 舟屋「シチケンブン」(成生)   

 大山峠を越え田井へ。さらに左に入ると、そこは大浦半島の最北端「成生漁港」。土蜘蛛征伐のとき、岩が光り(甲岩)、甲(かぶと)が鳴り響いて鳴生(なりう)(成生)の地名が誕生。緩やかな傾斜地に密した21戸の漁村集落である。浜は短く、手前に明治36年、全戸組合員として結成の漁業組合がある。また、海のすぐ傍らには、舟屋が建ち並んでいる。中でも、土壁に格子窓、2階建ての連結した長屋が目に止まった―。これが、ブリ漁の盛んであった大正3年ごろに建てられた「シチケンブン」と呼ばれる連棟形式の舟屋である。内部は7つに区画され、左側3区は各1戸、右側4区は各2戸が共有し、11戸で共同利用されている。舟屋は間口2.5メートル余り、奥行きは10メートル以上あり、1階に船を格納、2階は漁具置場、作業場としても活用できる。連棟の長さは浜に面して21メートルもある。しかし、屋根は1つでも持ち主は別々。各々に登記されているという。昔、手漕ぎの木造船をコロやウインチでこの舟屋に格納していたが、現在残るのは3隻だけ。漁船は30隻が稼働。漁場は成生岬までの約3キロで、昔と同じ。北風より西風が吹くと潮が動き大漁だとか。村が1つになって、海と共に生きてきた営みが脈々と…。舟屋は「船の癒し場」。その1棟1棟に、船を大切にする漁民の心意気をみた!

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