“涼”を求めて池内川(全長約9.3キロ)をさか上る。昔、大雨で山が崩れ、流れ出た水を谷に湛えて湖に\と考察する池内の谷は深い。分水嶺を綾部との境界に置き、水源は岸谷、寺田、上根、別所を流れ、布敷を経て池内校から今田を通り、真倉川と合流して伊佐津川となる。水の神様「池姫神社」上流の上路(かみじ)橋から沢を上ると、巨岩がゴロゴロと清流から飛び出した渓谷が百rほど続く。すると前がにわかに開け、静寂の中から水が激しく流れ落ちる音が…これぞ由緒ある「五郎の滝」出現!である。滝の幅は20メートルにわたり、赤みを帯びた巨岩が点在し、しかも二連の滝を形成。並んだ滝線から滝壺に流れ落ちる光景は、実に見事な夏のオアシス。滝の由来は五郎山(標高384メートル)が降り続いた大雨で崩れ、川をせき止め、布敷から奥地の上流が池になったという。その実証に奥地沼を舟で往来した寺田の“舟つぎ岩”や弁財天も祀られている。また、山はすり鉢状の原形、そこに平家が隠れた“千人かくし”場も。さらにこの滝で七日七夜身を清めると、奥沼の大蛇の姿が消えた話や、石を引くと雨が降るという石引き行事など信仰は厚い。村の先輩は「五郎の滝こそ最高の夏の遊び場!サンショウウオもいっぱいいた」と子供のころが懐かしい。滝は幾多の伝承とともに“地域の宝もの”として健在である。
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