“読書の秋”で東図書館へ。玄関を出た南側は、広々とした公園が開ける。この辺りは昭和18年4月竣工の「舞鶴海軍館」があった所で、戦後は市民の文化の拠点「東公会堂」として馴染み深い。現在は「松島公園」(0.58ヘクタール)として整備し、自由広場や遊具が並ぶ街の中の静かな公園である。その公園と図書館に面した緑地帯スペースに建っているブロンズ像が1基、秋の優しい光の中に調和して美しい。題名は「おはなし」。茂木弘行氏の作品である―。街の中に“うるおい”と“やすらぎ”を!生活の質の豊さを求めた「彫刻のあるまちづくり」事業の1つで、平成4年5月4日に設置された。像の高さ147センチ、台座30センチ。意図書によると、「傷つかれた幾多の人々の魂を安んじ、平和と自然を愛し、他人を大切に思う心をブロンズ像に、乙女と鳩の語らう姿をもって表現した」とある。また、作者への寸評スレーズは、“妥協のない制作信念に徹する彫刻家”と言われ、この作品もオリジナルそのもの。いま、児童の活字離れが追い風となり、「読み聞かせ」がブームを呼んでいる。絵本からの話し合いで心豊に、親子の“きずな”を深めることが大切。背景の図書館にもマッチしたこの像は、身近な空間で共生し、平和を語っている感じである。どうぞ秋の夜長を心ゆくまで「おはなし」あれ。
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