2つの川の中を抜ける道があるので中筋。その中心地に公文書を作る所があって公文名(くもんな)の地名。この地区には多くの水路や湧き水があり、真名井の清水は田辺城の「御水道」と呼ばれた。そこで“水”に因んだ「笠水(かさみず)神社」へ―。
由来は1人の武者修行者が通りかかり笠を置いて一服。そのまま眠って夢を見た…喉が渇き水が飲みたい! 地面を杖で叩くとチョロチョロと水の音。武士は笠で水をすくい、心ゆくまで飲んだ。「この地に宮を祀れ。名を笠水と名のれ」と藤の木に彫って旅立った…とか。
丹後風土記には「宇介美都(うけみず)」の訓が振られ、また真清水の湧く所から「真名井」とも記す。昔は池内川、真倉川、高野川の合流を受ける海辺でもあった。故に祭神も笠水彦神と笠水姫神で海浜族の海部直(あまべのあたい)が祖神。現社殿は天保11年(1840)、境内の欅一本で建てられ、公文名、伊佐津の両村と水の恵みで栄えた紙すき屋の協力で建立されたという(『中筋のむかしと今』による)。
平成11年9月、社殿右側には稲荷社、愛宕社、八坂社の3社が復元され鎮座。夏祭りは8月6日、秋は10月7日前後に太鼓櫓御輿(やぐらみこし)が出て盛大に行われる。
また、明治2年、新行政区の藩名として、「舞鶴」と共に「笠水」の名も候補に上げられたほどの、藩を代表する神社なのである。
“水”は万物の命を育む…されど「水は方円器(ほうえんうつわ)に随(したが")う」とも言われる。水を大切に!
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