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2004年11月30日

「浮島丸事件」戦後60周年記念追悼事業
プレイベント、ドキュメンタリー映画「航跡」上映会
 浮島丸事件を題材とした映画「エイジアンブルー」の韓国上映の運動などを描いたドキュメンタリー映画「航跡」の上映会が11月25日夜、北吸の市政記念館で開かれた。来年の戦後60周年を記念した追悼事業のプレイベント。映画製作者の伊藤正昭さんの映画と平和にかける思い、韓国での反響などが紹介されたのに続き、来年8月24日の記念事業の東アジア国際平和シンポジウムの計画への協力を呼びかけた。  エイジアンブルーは1995年に完成。国内上映の後、製作者の伊藤さんの働きかけで2000年夏から韓国各地で上映が実現し、これまでに約3万人が見た。これを機に上映運動に関わる韓国光州市のグループと「浮島丸殉難者を追悼する会」の交流が始まり、昨年の追悼集会に韓国市民らが参加した。  「航跡」はシネマ・ワークの関連会社「アジア・ワイド・コミュニケーションズ」(京都市)が制作。上映会は、同会が60周年追悼事業の成功に向け機運を作ろうと企画し、国内初公開に市民らが来場した。上映に先立ち伊藤さんは「韓国では近く3、4カ所の主要都市で、中国では北京大学などで上映が計画されており、映画はまだ続いている。その元になっているのが舞鶴の追悼集会。来年はソウルから多くの人が参加したいと聞いた」と話した。  上映の後、同会から来年の追悼事業で日韓中の有識者を招いての東アジア国際平和シンポジウムと交流会の計画が提案され、来場者に協力を呼びかけた。京都市から来た舞鶴出身の広橋澄子さん(66)は「長く舞鶴にいましたが事件のことは知りませんでした。映画は伊藤さんの思いがストレートに伝わってきました。立命館大学の国際平和ミュージアムでボランティアガイドをしており、事件の資料を展示してもらえるように働きかけたい」と話していた。

写真=韓国での上映の反響を話す映画製作者の伊藤さん
舞鶴消防60周年で「顕彰碑」
先人の功績たたえ除幕式と追悼式
 市民の生命と財産を守るため活躍した消防署員や団員の功績をたたえる「顕彰碑」が、浜の舞鶴東消防署・防災センター敷地内に建立され、11月26日、消防関係者や署員ら約200人が出席して、除幕式と殉職署と物故者を慰霊する追悼式が行われた。  顕彰碑は、昨年10月に舞鶴消防の創設60周年を迎えたのを期に、消防団長OBでつくる舞消会が、舞鶴消防顕彰碑設立委員会を結成して建立を計画。消防団や消防署OB、現職署員や団員からの募金450万円で建立した。  顕彰碑は、舞鶴の赤れんがをイメージした赤い石で、幅2.3メートル、高さ1.4メートル、奥行き0.3メートル。幅3.4メートル、高さ0.6メートル、奥行き2メートルの台座に据えつけられている。「顕彰碑」の文字と、元舞鶴消防長の塩尻庄三郎さんの詠んだ「防災の故友に咲ける花万朶」の句が刻まれている。  除幕式に続いての追悼式では、市消防本部の麻尾肇消防長が「身を挺して職務に精励された先人の功績をたたえ、市民の負託に応えられるよう職務に励むことを誓います」と式辞を述べた。遺族を代表して、昭和32年4月に殉職した西消防署の森野實署長の2女、藤本浩子さん(50)=綾部市=が「2歳のときに父を亡くし、この48年間、毎年署員の方が制服で墓参りしていただいたのが心の拠り所でした。父も感謝していると思います」と話していた。

写真=追悼式で献花する遺族ら
2004年11月26日

台風23号で田畑被害、復旧進まず
市が災害農家へ緊急支援
 台風23号で田畑が被害を受けるなどしたが、舞鶴市は11月22日、被災した農家の復旧へ向けた農業緊急支援策を発表した。国の農地災害復旧事業の個人負担の軽減や農機具の修理などの助成、田畑の片付けの農業災害ボランティアを派遣するなどの内容。台風から1カ月を過ぎ農家は落ち着きを取り戻しているが、土砂や流木に埋まった田畑の多くは、復旧が進まず被害を受けたままの姿を見せている。  加佐を中心とした河川の流域の田畑に樹木や土砂が流れ込み、石の川原や泥田のような姿に変わった。また、ビニールハウスが壊れたり、農機具が水浸しになる被害も続出。農家は人の手で片づけられる範囲で泥の除去やハウスの補修をしているが、多くは個人で復旧するには手に余り手つかずの状態となっている。被害の実態調査をする市が現在までにまとめた被災農地は約145ヘクタールという。  市は今回の被災農家支援の緊急制度を作った。国は復旧に40万円以上の費用のかかる農地に対して、審査の上で農地災害復旧事業の対象としているが、市は個人負担額を事業費の10%から5%に軽減する。期間は平成16年〜18年度。被害を受けた農機具やパイプハウスなどの修理費と更新費の合計額に応じて、10万円を上限に助成する。期間は同16年度〜17年度。  国の災害復旧事業の対象外の田畑について、土砂やゴミの片付け、用排水路の泥出しなどにボランティアを派遣する。市と市農業委員会、JA京都にのくにで組織するまいづる農業災害ボランティアセンターが、派遣希望農家とボランティアを募集し調整する。申し込みは市農林課か同会で。期間は当面平成十六年度までの土・日曜日。  融資制度関係では、農業近代化資金と農業経営維持安定資金の利子を、府と市が全額負担して無利子にする。期間は五年間。また、支援の相談窓口を市農林課に設けた。
【問い合わせ】電話66・1030の市農村整備課、66・1023の市農林課。

写真=石や流木で埋まったままの田んぼ(下漆原)
現代工芸賞受賞記念「高井晴美陶展」
12月2日〜同4日、市政記念館で
 大浦半島の漁村の成生在住の陶芸家、高井晴美さん(40)が、日本現代工芸美術展で現代工芸賞を受賞したのを記念して、高井さんが卒業した東舞鶴高校の同級生たちでつくる実行委員会が、12月2日〜同4日、北吸の市政記念館で「高井晴美陶展」を開く。受賞作品や日展の入選作品など大作20点を一堂に展示する。故郷に戻って今年で10年の高井さんの歩みを見ることができる。  高井さんは京都市内で作家活動をスタート、3年連続で日展に入選した。1994年に日本海と漁船が見える成生にアトリエを設け、海と波からインスピレーションを受けたオブジェを出品、これまでに日展に通算七度入選するなど中央でも高い評価を受けている。成生に戻り初めて日展に入選したのを区切りに、2000年に初のふるさと展を開いた。  自由な表現とテーマ性を重視する同工芸美術展で、念願だった初入賞を今年果たした。今年がちょうど帰郷して10年になることから、同級生たちが陶展を主催する。波の音を形にした入賞作「濤聲(とうせい)」、岩にくだける波しぶきを表現した「濤(なみ)の華」など、一貫して希望のメッセージを土に込め続けた作品を展示する。  高井さんは「ここで10年続けて多くの人と関わり支えてもらいました。たくさんの人に見てもらえれば」と話していた。時間は午前10時〜午後9時(最終日は午後5時)。入場無料。

写真=日本現代工芸美術展で現代工芸賞を受けた作品(左側)と高井さん
2004年11月24日

「舞鶴TMO」浜団地と周辺の再開発計画図
関係者らシンポジウムで意見交わす
 「舞鶴TMO」、「ビルセンターと八島公園周辺を考える会」が11月19日、浜の市商工観光センターで、地域交流会「浜周辺を考えるシンポジウム」を開催した。建設から50年を経過した市営浜団地(大門ビルセンター)の建て替えにからみ、舞鶴TMOが浜中心地の団地と周辺の再開発計画図を発表。市民が集うコミュニティーの公園とした「まちなかガーデニング構想」に、出席者が意見を交わした。構想をたたき台として今後も意見交流を続ける。  舞鶴商工会議所を母体に設立された舞鶴TMOは、東地区の新たな拠点施設整備の事業の中で、市営浜団地のあり方を課題に取り上げ、関係者が検討するたたき台として構想づくりをしてきた。昭和29年建設の同団地は、店舗が入店し市民が入居しているが、老朽化に伴い建て替え問題が浮上している。  再開発図が始めて提案される発表会には、商店主ら約40人が来場。パネラーにタウンマネージャーの横島毅さん、東舞鶴商店街連盟理事長の伊庭八郎さん、同連盟中心市街地化特別委員会委員長の塩見邦夫さんらを迎えた。TMO総合プロデューサーの下野邦夫さんが構想を説明。更地に「ワイワイガーデンプラザ」の公園を作り、オープンカフェを設けたり、音楽や朝市などができる空間を創出し、地域交流の舞台とする。  この構想に対してパネラーらは「景気が停滞している中でまちの再開発は難しいが、公園にしておけば経済状況によって利用転換もしやすい」「人を引きつける公園にすれば経済効果を生み出す」、塩見さんは「ホットストリートでまちの中に色々なイベントができる広い空間の必要を感じた。その近隣にお洒落な店やマンションができるなどの波及効果も期待できる」と述べた。  会場の中からは「いま住んでいる人の状況も押さえて」「公園ができた後の管理は」「文化を生み出す公園に」「中心の公園にするには小さいのでは」「いまの八島公園もいい公園で、人が集まっている。いまのままではいけないのか」などの意見が出た。

写真=計画図の発表を受け意見を出す出席者ら
中学生「税についての作文」
小林君(城北)に舞鶴市長賞
 舞鶴納税貯蓄組合連合会(松本昭司会長)が、租税教育推進の一環として、市内の中学生を対象に募集した平成16年度「税についての作文」の表彰式が11月17日、下安久の舞鶴納税協会会議室であり、城北中学3年の小林亮太君に舞鶴市長賞が贈られた。  「税についての作文」は、中学生に国民の義務の納税や税金の使途について理解してもらうことを目的に、全国納税貯蓄組合連合会が、昭和42年から実施している。舞鶴納税貯蓄組合連合会で翌年から取り組んでおり、今回で38回目。  表彰式では、松本会長が「舞鶴を襲った台風や新潟県中越地震の災害復興にも税金が使われています。今回も多くの作品の応募があり、税に対する関心の高まりの表れと思います」とあいさつ。続いて、市内八校から応募のあった858点の作文の中から、審査の結果、舞鶴市長賞、舞鶴税務署長賞など各賞の入賞者に賞状と記念品が授与された。  また、長年に渡り学校を挙げて作文に応募している岡田中学校に感謝状が贈られ、小林君が受賞した作文「税に守られて」を発表した。
 舞鶴市長賞を除く各賞入賞者は、次の皆さん。  【舞鶴税務署長賞】森脇由衣(若浦)  【舞鶴地区租税教育推進協議会長賞】常塚美奈(青葉)  【京都府納税貯蓄組合総連合会長賞】佐藤真也(城北)濱麻衣(同)菊本雄紀(同)中野亜以子(城南)  【舞鶴納税貯蓄組合連合会長賞】山下千鶴(城南)梅垣ことみ(城北)森下弘理(岡田)臼井美朗(由良川)浦佑衣(和田)家原有美(白糸)

写真=舞鶴市長賞を受ける小林君
2004年11月19日

みずほ福祉助成財団
こども療育センターに「電動車いす」寄贈
 北吸の府立舞鶴こども療育センター(久保俊一所長)に11月16日、財団法人・みずほ福祉助成財団(山本惠朗理事長)から寄贈を受けた電動車いす1台(約60万円相当)が届いた。リハビリを受ける中学生らがさっそく試乗、スムーズな動きと乗り心地を体験した。同センターは子供たちの外出の機会を増やすために活用していきたいとしている。  同センターでは、18歳未満の肢体不自由などの障害を持つ子供たちが、入院・通院しながら治療やリハバビリなどを受けている。小・中学生らは隣接する舞鶴養護学校北吸分校で学んでいる。  車いすを必要とする子供たちが多いが、同センターには以前に電動車いすが1台あったが壊れていまはないため、電動車いすの要望を受けた府が、電動車いすの贈呈を事業としている同財団に寄贈を申し込んだ。同財団はみずほフィナンシャルグループの拠出金などで運営している。  届いた電動車いすは三段階のスピード調節ができ、操縦桿のようなスティックを動かして前後左右に進行方向を操作できる。5センチまでの段差なら上ることができ、内蔵するコードを伸ばして家庭用のコンセントから充電できる。試乗した北吸分校中学部3年の山口和也君は「乗り心地はまあまあ。坂道や段差も上れるので外出がしやすくなる」と操作を楽しんだ。  同センター理学療法士の小幡さつきさんは「簡単に動かせ安定性がいいので、子供たちの生活や遊びの場面を広げることに活用していきたい」と話していた。

写真=寄贈された電動車いすに試乗する中学生
法改正受け、廣田さんと岸本さん
福祉タクシーの運行始める
 民間の2業者が4月からの法改正を受けて、個人で福祉タクシー事業をこのほど開始した。介護保険の要介護者や身体障害者手帳などを持っている人らを対象に運行する。リフト付きで乗降も楽にでき、お年寄りや身障者にやさしい運行を心掛ける。  タクシー運転手だった廣田馨さん(59)=京田=と岸本清さん(46)=伊佐津=が、足腰の悪い人に気軽にタクシーを利用してもらおうと、専門の福祉タクシーを始めた。4月に法改正で許可事業となったことから、国土交通省認可の一般自家用旅客運送事業を取得。廣田さんが「光輸送サービス」、岸本さんが「虹輸送サービス」を立ち上げ、それぞれ1台を購入し協力しながら事業を行う。  タクシーは軽自動車のワゴン(定員3人)で、リフト付きの福祉仕様車。要支援者、足腰の悪い人など買い物や通院などに利用してもらおうと、福祉施設や病院などを訪問してPRしている。初乗り運賃(1.5キロ)は550円。2人は「ワゴン車なので足がまげにくい人もゆっくり乗車してもらえます。お客さんとのコミュニケーションを図ることも大切にしたい」と話していた。  光輸送サービスはフリーダイアル0120・294・845、虹輸送サービスは0120・294・625。

写真=福祉タクシーを運行する廣田さん(右)と岸本さん
2004年11月16日

〜中小企業のためのHPコンテスト京都2004〜
舞鶴蒲鉾協同組合が団体の部で優秀賞
 舞鶴蒲鉾協同組合(嶋田正夫理事長、五業者)のホームページ(HP)「かまぼこ・どっと・こーぷ」が、京都商工会議所主催の「中小企業のためのHPコンテスト京都2004」団体の部で、優秀賞(京都府知事賞)を受賞、11月17日に表彰される。かまぼこの総合情報サイトとしてリニューアルしたHPが評価され、同組合では「多くの人たちにアクセスしてもらい、消費拡大につなげたい」としている。  同コンテストは、府内の事業所のHPの資質向上とHPを活用した価値ある情報発信などを目的に、団体の部のほか、法人、個人、大学の部の四部門で、開設しているHPを公募して実施している。今年度は、団体の部23件、法人の部139件など230件の応募があり、審査の結果、最優秀賞など各賞の入賞HPが決まった。  同組合のHPは、1997年に開設された。組合参事の辻義雄さん(49)が、インターネットでの販路拡大をめざして、組合員の製品を紹介する画面を製作した。同コンテストには、昨年も応募したが、入賞できなかったため、リニューアルして再度応募した。  リニューアルした点は、かまぼこの総合情報サイトとしての機能強化。かまぼこに関する豆知識や料理法などを紹介する「かまぼこなんでも館」、同組合に社会学習や研修に訪れた小・中学生の質問と回答を掲載した「かまぼこQ&A」、かまぼこの製造過程が分かる「バーチャル工場見学」などのコーナーを設けた。  また、「舞鶴の四季だより」や「かまぼこの街『舞鶴』」として、観光スポットも紹介している。リニューアルでは、辻さんがアイデアを出し、専門家のアドバイスを受けて製作したという。  辻さんは「ホームページをリニューアルして評価していただき、更新の意欲もわいてきました。また、各方面から問い合わせも増えて、御歳暮の季節を迎え、販売促進につながればうれしい」と話していた。アドレスはhttp://kamaboko.coop

写真=HPを製作した同組合参事の辻さん
イタリアの社会的協同組合「コーパプス」理事長来日
「ほのぼの屋」のレストラン交流の夢広がる
 農業を軸に活動するイタリアの社会的協同組合「コーパプス」理事長のロレンツォ・サンドリさん(48)が、「サンドリさんと交流する会」の招きで来日、11月12日に大波下のカフェレストラン「ほのぼの屋」を訪れた。コーパプスでは障害者たちが働くレストランを経営しており、同じく障害者が働くほのぼの屋を視察し、歓迎夕食会も開かれた。サンドリさんと職員らは両国の取り組みの違いなどを話しながら、今後の交流へと夢を広げていた。  イタリアには生協や農協などの組合と並び、様々な障害を持つ人たちの暮らしや仕事を支える福祉と雇用が結びついた「社会的協同組合」がある。1991年に国によって制度化され、イタリア全体で約6500の組合があるといわれる。  ボローニャ市郊外にあるコーパプスは、1979年に設立。精神障害や知的障害を持つ人たちが、仕事を通して社会参加を実現することを目指し、果樹や野菜栽培などの農業、農産物の加工と直販、レストラン「イル・モンテ」の経営などをする。現在約40人のスタッフと34人の障害者が働いている。  約2年前に組合を視察した京都市民らが、京都・舞鶴にも障害者が働くレストランがあるのを話し、興味を持ったサンドリさんをいつか招待したいと思った。その後、新しい福祉のあり方としてコーパプスが日本で注目され、今年2月にサンドリさんを招く交流する会を結成。同会副代表には、コーパプスを日本に紹介した作家の井上ひさしさんが名を連ねた。  来日したばかりのこの日、精神障害者授産施設ワークショップ「ほのぼの屋」に、同会の一行10人が訪問。施設長の西澤心さんからスライドを使って共同作業所からのスタートの歴史、レストランで約50組のウエディングをしたことなどの説明を受けた。その後、サンドリさんを囲んで歓迎夕食会を開催。ほのぼの屋では時間をかけて接客の仕事を覚えてもらっている話をし、サンドリさんが耳を傾けた。  西澤さんは「山にあるイル・モンテと海にあるほのぼの屋と姉妹レストランとしてがんばろうと言われました。いつかイタリアの福祉システムなどを実際に現地で感じ、日本に応用できないか考えたい」と話していた。  サンドリさんは11月22日に離日するまで鹿児島や山形、京都などで講演などをする。

写真=歓迎夕食会でサンドリさん(右から2人目)と乾杯する参加者たち
2004年11月12日

浮島丸殉難者を追悼する会
掲示板建て替えと像の補修、支援呼びかけ
 戦後直後に舞鶴湾で起きた浮島丸事件の犠牲者を追悼する「浮島丸殉難者を追悼する会」(野田幹夫会長)は、下佐波賀の殉難の碑公園に立つ事件を説明をする掲示板の建て替えと、追悼の碑の像と台座の補修をすることを決めた。台風による強風で掲示板が倒れ、像も長年の風雨でひびが入るなどの修理が必要となった。戦後60周年の来年は記念事業も控えており、整備を図ることにした。その費用約25万円がかかるが、市民の支援を呼びかけている。  青森県下北半島から朝鮮人労働者らを乗せた浮島丸が1945年8月24日、朝鮮半島の釜山に向かう途中に寄港した舞鶴湾で謎の爆沈をし、549人が亡くなった。その後、犠牲者を追悼しようと、市民たちが54年に第1回追悼集会を開催。78年には市民からの募金をもとに追悼の碑が建立された。  事件の背景などを記した木製の掲示板(高さ1.5メートル)は、碑の完成と同時に作り、約10年前に建て替えた。多くの人が熱心に掲示板を読む姿が見られた。しかし、9月の台風20号で足元から折れて倒れ、その後修復したが続く台風で再び壊れた。  また、合成樹脂製の像も完成から26年が経過。寒暖によって像が伸縮して入ったひびから雨水がセメント製の台座に流れ、セメントが溶けだすのが目立つようになってきた。これまで像表面を塗り重ねることはしたが、修理は完成後初めてとなる。像製作者の余江勝彦さんは「像本体は丈夫だがひびを埋める必要が迫ってきた。来年春以降にかかれれば」という。  補修には約25万円の費用がかかる。追悼集会を主催する同会は会員の会費だけで運営しており、その費用を負担する余裕がない。来年は60周年の記念事業も控えている。そのため会員や市民に費用の支援の協力を求めている。募金の集計は第1次が12月末、第2次が来年3月末。
【問い合わせ】電話62・2374、同会事務局。募金の受け付けは郵便振替番号01030―7―59465 浮島丸殉難者を追悼する会。

写真=ひびから雨水が入りセメントが溶け出した台座
映画「エイジアン・ブルー」完成から10年
11月25日、ドキュメンタリー「航跡」上映
 浮島丸事件を題材にした映画「エイジアン・ブルー」の韓国上映など、完成後の約10年の軌跡を記録したドキュメンタリー映画「航跡」が、11月25日午後6時半から北吸の市政記念館で上映される。製作者の伊藤正昭さんの活動や日韓の市民交流などをまとめた。主催する追悼する会は、来年の60周年記念事業で東アジアとの交流を計画、成功に向け機運を作りたいという。だれでも来場できる。無料。  エイジアンブルーは1995年、舞鶴市民もエキストラとして出演し完成した。国内での上映の後、製作者の伊藤さんらの働きかで念願の韓国上映が2000年に実現。これを機に韓国光州市民と追悼する会の交流が始まり、02年と昨年の追悼集会には韓国市民らが参加した。  「航跡」は、伊藤さんの韓国での活動、浮島丸が南下した日本海をフェリーで航海した記録などを収録した。製作はエイジアン・ブルーの韓国・中国上映に取り組むアジア・ワイド・コミュニケーションズ。スタッフの今井秀海さんが演出した。38分。今年の光州国際映画祭で特別上映された。  国内初の上映となる25日は伊藤さんも来場する。上映の後、来年の記念事業で韓国・中国・日本の有識者を招いてのシンポジウムや交流会の計画について意見交換する。会員以外でも関心ある人なら来場できる。
【問い合わせ】電話62・2374、須永さん。

写真=韓国メディアから取材を受ける製作者の伊藤さん(「航跡」の1シーンより、2004 ASIA WIDE COMMUNICATIONS)
2004年11月9日

NPO法人・まちづくりサポートクラブ
子育て支援ネットワーク第1回名刺交換会
 NPO法人・まちづくりサポートクラブ(増山寛一代表)は、子育てサークルと子育て支援グループの情報交換をしようと、11月4日、円満寺の西市民プラザで、子育て支援ネットワーク第1回名刺交換会を開いた。子育て中の母親約30人が出席し、各グループの活動を紹介しあった。12月4日まで3回開催する。  サポートクラブ親子部会は、子育て中の父母のサークルと、それを支援する団体が一堂に会して交流する機会がなかったことから、西市民プラザを拠点に子育て支援の輪を広げようと、キリン福祉財団の助成を受け、情報交換をする事業を企画した。また、同プラザの市民活動団体活動室に、子育て支援の情報コーナーを設けた。  第1回は親子部会、子育て中のサークルの母親が出席。マザーボイスや舞鶴アレルギーの会・おにぎりくらぶなどの会員らが活動を紹介し、子育てや会の活動について話し合った。また、地域で子育てサークルの役割について研究する立命館大学の津止正敏教授が、少子化が進むと、これまで子供を介してつながりのあった地域がバラバラになり、その中で担う子育てサークルの役割について話した。  次回は11月14日、子育て支援団体のメンバーが出席する。3回目は12月4日、過去2回に参加した人によって、今後の子育て支援のためのネットワークづくりの方向性を探る。時間は午後1時半から。
【問い合わせ】電話77・0086、西市民プラザ内、塩見さん。

写真=子育て中の母親らが活動を紹介しあった第1回名刺交換会
浜の老舗旅館「松栄館」がビジネスホテルに
「紫翆館」としてリニューアルオープン
 明治時代に作られた能舞台を備えた木造家屋が残り、舞鶴の近現代史を見つめてきた浜の老舗旅館「松栄館」が、11月7日から新しくビジネスホテル「紫翆館(しすいかん)」としてオープンした。高浜町に本社のある「吉田開発」(吉田彪代表取締役)が買い取り、関連会社が運営する。今回は鉄筋5階建ての本館をリニューアルしたが、木造の旧館も補修して来春のオープンを目指す。  松栄館は1904年(明治37)に創業。現在も残る木造2階建ての旧館は、能舞台を備えた72畳の大広間があり、建物の外観や各部屋の造り、調度品は明治の香りを残したまま。戦前は旧海軍関係者が盛んに出入りし、戦後は引き揚げを取材する報道関係者の宿泊所としてにぎわい、映画「飢餓海峡」のロケも行われた。  1994年に建設された本館は客室27室、250人収容のコンベンションホールなどを備えた。不況の影響で宴会利用が大幅に減少し、9月末で廃業。建設業などをする吉田開発が由緒ある歴史の建物、市街地と海に近い立地を活かして、ビジネスホテルとして利用することにした。  客室をリニューアルして34室(宿泊人数50人)を設けたほか、コンベンションホールや小・中宴会場も再利用した。軽食喫茶室を設けた。宿泊料金(朝食込み)はシングル6500円、ツイン1万円(2人1万2000円)に設定。元の広い宴会場やロビーを最大限活かし、くつろげるビジネスホテルとして他のホテルと差別化した。「東洋ビルト」(吉田正子社長)が運営する。宿泊施設は平均70%の稼働を目指す。

写真左=ビジネスホテルとしてリニューアルオープンした「紫翆館」
写真右=能舞台が残る木造の旧館も来春オープン予定
2004年11月5日

岡田下小で「ふれあい秋祭り」
「災害いらん 元気を出せい」
 久田美の岡田下小学校(木下きく枝校長、児童73人)で11月2日、児童会(真下大平会長)主催のふれあい秋祭りが開かれた。台風23号で大きな被害の出た地域から通っている児童たちは「災害いらん 元気を出せい」と掛け声を出して手作り神輿を担いだり、各教室で工夫を凝らしたお店を作って、来校した地元の人らと交流した。  学校の授業を公開するオープンスクールウイーク(11月1日〜同7日)の一環として、児童会が台風前から準備を進めてきた。全児童の内、床上浸水など約30人が台風で被災し、10月20日から同25日まで休校措置を取り、一時は秋祭りの中止も検討していた。  この日、会長の真下君が「楽しい思い出を作って下さい」とあいさつ。続いて、2年生を中心に神輿を担いで体育館を1周し、久田美など各地区の太鼓演奏を披露した。その後、各学年で協力した的当てなどのお店を開き、児童や地元の人らが巡ってゲームなどを楽しんだ。  4年生の山崎明奈さん=志高=は「お店を楽しみにしていたのでできてよかったです」と、来店者にリコーダーの演奏をプレゼントした。木下校長は「児童たちが楽しみにしていたので実施しました。延期したマラソン大会もできるようにしたい」と話していた。

写真=掛け声出して手作り神輿を担ぐ児童たち
作業所友の会「バザー」盛況
台風被災市民への義援金箱も
 まいづる共同作業所・まいづる作業所友の会(蒲田忠夫会長)主催のバザーが、上安久のポリテクカレッジ京都体育館でこのほど開かれた。前年に比べて多くの物品が市民から寄せられ、開場前から長い行列ができる盛況だった。  社会福祉法人・まいづる福祉会が運営するまいづる作業所、無認可施設のまいづる共同作業所など五つの施設に、100人を超える障害者が働いている。こうした施設の運営資金不足を支援しようと友の会が毎年バザーを開き、収益金を寄付している。  市民から日用雑貨、食料品、衣料品、家具製造会社提供の家具など約30トンの物品が寄せられ、約200人のボランティアらが設営から販売までを担当。午前中から多くの買い物客が訪れ人気の家具はすぐに売約済に。スタッフらは昨年以上の来客の応対に追われた。また、会場には台風で被災した人たちに送る義援金の募金箱も置かれた。

写真=多くの買い物客が訪れたバザー会場
2004年11月2日

ニュー・サウンズ・オーケストラ
11月6日、市民会館で第30回コンサート
 市民らでつくるニュー・サウンズ・オーケストラの第30回目のコンサートが、11月6日午後7時から北田辺の市民会館で開かれる。今回は尺八奏者のジョン海山ネプチューンさんをゲストに迎える。メンバーの中にも台風23号で被災した人もいるため、被災した市民たちを音楽で励まそうとの気持ちを込めて演奏する。  同オーケストラはスイングジャズなどを中心に演奏活動するビックバンド。中高生でブラスバンド部の経験者で昭和45年に結成した。ほぼ毎年1回のペースで定期的にコンサートを開き、今年で30回を迎える。毎年プロミュージシャンをゲストに迎え、演奏レベルの向上にも努めている。これまでに歌手の金子晴美さん、クラリネットの北村英治さんらと共演。また、府北部でのイベントにも出演している。  今回は1部は同オーケストらの演奏、2部がネプチューンさんの独奏、3部がジョイント。曲は「アイリメンバー」など。米国生まれのネプチューンさんは都山流尺八の師範免状を取得し、2作目のアルバム「BAMBOO」が文化庁芸術祭優秀賞を受賞した。ヨーロッパなどでも演奏している。現在は千葉県鴨川市に住み作曲、尺八の製作もする。  前売りは1200円(当日300円増し)。小学生以下無料。
【問い合わせ】電話75・2636、糸井さん。

写真左=演奏するニュー・サウンズ・オーケストラ(昨年のコンサートより)
写真右=ゲストに迎える尺八奏者のジョン海山ネプチューンさん
ボランティア活動に日星高3年生103人ら
台風被災地の志高や下漆原地区で
 上安久の日星高校(北村司郎校長)の3年生103人が10月29日、台風23号で被災した志高や下漆原地区で、後片付けなどを手伝うボランティア活動に参加した。生徒の中にも被災した人もおり、参加者らは住民らの力になれればと家屋から泥をかき出す作業などに汗を流した。  被災者を支援しようと、生徒会と教師らが話し合い、ボランティアの数が手薄な平日を選んで、先発隊として3年生の希望者が参加。まいづる災害ボランティアセンターに学校単位で申し込み、71人が志高、残りの32人が下漆原に入った。  マスク、長靴姿の生徒たちは、志高地区でボランティアを要請する6軒の民家や事務所に向かった。また、各家に必要な仕事がないか声を掛けた。加佐公民館隣の永野建設には男子9人が、自分の背丈以上の位置まで増水した跡が残る壁を見て驚きながら、水を被った大型冷蔵庫などを動かし、京都市内から来たボランティアの男性2人と協力し、倉庫の泥をスコップでさらった。  3年生の堀俊昭君(17)は「きょう現地に入って初めて様子が分かった。役立つことがあればまた手伝いたい」と話していた。永野建設社長の永野喜和さん(71)は「増水の水足が早く倉庫の2階に避難した。倉庫と自宅も床上浸水したがもっとひどい人もいるので、自分の所は後回しにして道路の復旧に従業員を当たらせている。高校生たちの応援は本当にありがたい」と感謝していた。  同30、31日には日星高の1、2年生と、東舞鶴高校の生徒らもボランティアに参加した。また、日星高では被災者へ送る募金も検討している。

写真=倉庫の泥をスコップでさらう3年生ら(志高で)
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