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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩1
−「ハオコゼ」−
春の海でにらめっこ

 唇も触れんばかりに近づいた2匹の魚。彼らは愛を語り合っているのか、それとも喧嘩しているのか。よくよく観察すると、どうやら2匹は争っているらしいことがわかる。写真で左の魚の口の周りがすりむけ、そして右の魚は胸びれがちぎれている。  ハオコゼの背びれには猛毒があって、誤ってつかむと大けがをする。私の同級生は大学の臨海実習中に釣りをしていて、この魚に刺された.最初は大したことはなかったが、「魚の毒はタンパク質だから、熱で分解されるはず。だから傷口に熱湯をかけるとよい」との私の指示を忠実に守ったせいか,手はグローブのように腫れ上がり、夜になって、救急車を呼んだ。ハオコゼを見ていると今でも、当時の難波君の涙目を思い出す。  さて、長浜のハオコゼ。そんなにすごい毒を持っていても、同種との争いでは致命傷にいたるであろう猛毒の行使は決してしない。背びれのとげは、ハタなどの大きな魚に食われないための防衛策だ。写真の二者も、しばしにらみ合った後、お互いの胸びれや尻びれにかみついて激しく争い、最後は右の魚が退散していった。のどかな春の海で見かけた珍事であった。
写真=体長7センチのハオコゼ。撮影地は長浜、水深6メートル
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