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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩102
−カンパチ− 眉間に八の字

 カンパチは、ブリとよく似た魚だが、ブリよりも体が平たく、眼の上を斜めに横切る線があるため容易に区別できる。この線を魚の正面から眺めると八の字に見え、「眉間に八」の意で「間八」の名がある。ブリが東シナ海から北海道までを主な生息域とするのに対し、カンパチは全世界の熱帯から温帯域に分布する。好奇心の旺盛な魚で、ダイバーを見ると近づいてくることが多い。  ブリの体が紡錘形で長距離の遊泳に適しているとしたら、やや平たいカンパチは、切り立った岩の間をすり抜ける能力にも長けているといえる。若狭湾で見かけるカンパチはやや小ぶりである。水温の低下する冬季には南方へ回遊するため、大きく育ったカンパチと若狭湾で遭遇することはほとんどないのだろう。  ハワイでシュノーケリングしていた折、カンパチにはよく出会った。魚をヤスで突くスピアフィッシングの盛んなハワイでは、大型の魚を見かけることがまれであったのに、カンパチだけは60センチを超える大物を普通に見かけた。ハワイのカンパチには寄生虫が多いため、この魚を狙う人はあまりいないのだそうだ。筆者が当時勤めていたハワイの海洋研究所では、養殖条件下で寄生虫のいないカンパチを育てる研究も進められていた。ちなみにハワイではカンパチをカハラと呼ぶ.ハワイのオアフ島にはまた、カハラという名の高級住宅地があって、カンパチと何の関係があるのだろうと気になりつつも、カハラ地区に縁のなかった筆者には謎のままである。  日本国内では、養殖のカンパチが多く流通している。養殖カンパチは、脂の乗りは良いものの、後味はやはり天然物に比べて劣る。それに、1キロのカンパチを養殖するにはおよそ10キロのイワシ類が餌として必要であることを考えると、10日に一度養殖カンパチを食べるよりは、イワシやアジを毎日食べる生活を選びたいというのが、魚食系男子としての本音である。
写真=福井県音海沖の浅礁(あさぐり)の水深18メートルで寄ってきた、体長25センチほどのカンパチの群れ。2010年9月撮影
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