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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩113
−キジハタ− 夜は食事の時間

 キジハタは、野鳥のキジに似た鮮やかな斑紋を持つ。幼魚の頃は体を横切る不規則な縞模様もあり、両者があわさって、ホンダワラ類の海藻の繁茂する磯の風景にうまくとけ込む。本種は瀬戸内ではアコウと称され、人工ふ化稚魚の放流が盛んに行われている。若狭湾ではヨネズの名で通っており、これは「夜寝ずに活動する」の意から付けられた名前らしい。  「キジハタが本当に夜行性かどうか調べてみよう」というのが、以前、舞鶴水産実験所に大学院生として在籍した松田君の研究テーマであった。水槽に入れたキジハタをビデオカメラで録画し、早朝・昼間・夕方そして深夜の潜水調査を行い、また発信器をつけたキジハタを放流して調べた結果、キジハタは早朝と夕方によく活動し、昼間は休み、そして夜は餌を食べに出かける習性が確認できた。  活魚として購入し、数日間の水槽観察を終えたキジハタは不要になる。これをどのように処分したかはあえて書かないが、舞鶴滞在中に魚料理の腕をめきめき上げた松田君は、修士課程修了後、大手の食品会社に就職した。  キジハタは極めて美味な魚である。一見淡白な白身に旨味と脂がちりばめられ、シンプルな刺身や塩焼きが良く、また煮付けたときの皮も最高に旨い。ハタ類は一般に、熱帯から温帯の海の生態系で上位に位置し、かつ高級魚の地位を占める。その中でもキジハタは、乱獲により個体数を著しく減らしているといわれる。そのキジハタが、若狭湾沿岸では比較的多く見られる。これはおそらく、冠島のような場所には大きなキジハタがまだ残されており、これらが大量の卵を産んでくれるおかげであろう。そう考えると、沖合の一部の海域に漁業や釣りをまったく行わない保護区を設け、そこからの資源の供給を確保することが、将来にわたり豊かな海の幸を享受する上での近道かと思う。
写真=遠近法の具合で巨大に見えるが、実際には体長45センチほどのキジハタ。2011年8月、冠島沖の立神グリ、水深16メートルで撮影。向こうにいるのは舞鶴ダイビングの大西社長。
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