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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩115
−ホシエイ− 泳ぐ背にきらめく星々

 水中で自分より大きな魚に出会うことはまれである。先日、高浜沖の浅礁で見たホシエイは、そんな例外的な魚の1つだ。エイの類には、大きく成長するものが少なからずいる。中でも有名なのはオニイトマキエイ(通称マンタ)で、体の幅が最大で7メートル近くにもなり、ダイバーに最も人気のある魚の1つであろう。  今回見たホシエイでも、体の幅は1.5メートル、しっぽまで含めた長さは2メートル以上あったから、水中で力比べをしたら確実に負ける。しかも、尾の付け根には毒とげがある。背中の模様は、秋の夜空にきらめく星のようにも見え、これが「星エイ」たる由縁だろう。  エイの背中はゆったりと広く、とげさえなかったら、つかまって泳いでみたい衝動に駆られる。そんなダイバーの心理を反映しているのが、映画『ファインディング・ニモ』の最初の方に出てくる「エイ先生」というキャラクターだ。映画の中でエイ先生は、ニモをはじめとする小魚たちを背中に乗せて、海の中を案内してくれる。そういえば以前、かごしま水族館の大水槽で魚を眺めていたら、筆者の横で同じく水槽に張り付いている幼稚園児くらいの男の子が大きなエイを指して「エイ先生!」と叫んでいるが、親はそれが何のことか理解できずにいる、という状況に遭遇した。  浅礁でホシエイに出会ったすぐあと、長崎で開催された水産学会に参加した。その折、「えいひれの佃煮」なるものを当地の友人から頂き、これが非常に美味であった。おそらくエイを干して水分を除いてから細かく裂き、砂糖とみりんと醤油で味をつけたものであろう。あれを食べてからホシエイの写真を見ると、大海原を自由に舞う巨魚に対してはなはだ失礼ながら、かの魚から「干しエイ」が連想されて仕方ない。
写真=2011年9月、高浜町浅礁の水深24メートルで出会ったホシエイ。7月に同じ場所で調査した時にも、おそらく同じ個体を見かけた。
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