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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩116
−キンチャクダイ− あでやかな青い線

 「若狭湾で一番きれいな魚は何ですか」と尋ねられたときに、少々迷いながらも「こんな魚もいますよ」と示すのが、キンチャクダイの写真である。黄褐色の地にあでやかな青い線の入る、巾着袋を絞ったような模様が、実に愛らしい。この魚、4センチに満たない稚魚のうちは漆黒の体の頭部に黄色い線が横切る、これまたナイスなデザインである。  日本にはキンチャクダイ科の魚が30種ほどいて、そのほとんどはサンゴ礁域に生息し、いずれも色鮮やかである。同科の興味深い魚として、インド洋が主な分布域でありながら、日本沿岸で2例だけ報告のあるセダカヤッコという魚がいる。見つかった場所が、広島湾の入り口近くと静岡県の清水で、どちらも大きな貿易港であることから、タンカーのバラスト水とともに運ばれてきて居着いたのだろうと考えられている。ちなみに、そのわが国で2匹目のセダカヤッコについて報告したのは、大学院生の頃の筆者である。  本家のキンチャクダイは、図鑑によれば相模湾から香港のあたりまで分布しており、暖温帯の普通種ということになっている。若狭湾でもほぼ1年中見られ、辛うじて越冬しているのだろう。  キンチャクダイ科の魚を、英語ではエンジェルフィッシュと称する。天使になぞらえる英名に比べて、巾着袋は,ちょっと即物的なネーミングにも思える。  それにしても、これほどまでにあでやかな模様がなぜ必要なのだろうか。写真の背景に見えるのは、オノミチキサンゴというサンゴの一種で、これはサンゴ礁は作らない温帯産のなんちゃってなサンゴである。キンチャクダイの平べったい体は、温帯サンゴやイソギンチャクの間をすり抜けるのにはちょうど良くできているし、見事な縞模様も、そんなときに捕食者からの目くらましにでもなるのだろう。
写真=2011年9月、舞鶴市冠島北のチョウベイグリの水深15メートル付近で見られたキンチャクダイ。体長10センチほど。
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