アサリのみそ汁が好きだ。カボチャのみそ汁にはジャコを入れるし、魚のあら汁には昆布を入れる。でもアサリの場合、だしは要らない。アサリそのものから十分なだしが出るし、もちろん具にもなる。あとは、刻んだネギでも浮かべれば、なおよい。
アサリは、植物プランクトンを主な餌とする。そのため、植物質のうま味も持っているのだろう。浅い海底に埋まって、砂の上には水管(すいかん)と呼ばれる管を出し、これで呼吸すると同時に、海中のプランクトンをこしとって食べる。
そのアサリが、舞鶴の海から消えた。全国的にも、アサリ漁獲量の減少は著しいものの、地域によっては増え始めた所もある。ただし、隣国から輸入し地先の砂浜にまき3日後には回収して「〇〇県産」として売られているものもあるそうで、これは頂けない。舞鶴産のアサリは殻が少しいびつだ。寒い冬に成長が停滞するためだろうか。でもうま味はたっぷりつまっている。
舞鶴のアサリについて、過去20年にわたり調べている人たちがいる。「環境!みる・きく・考える会」の青海さんたちだ。舞鶴湾内の十数カ所で毎年調査を行ない、アサリの変遷を記録している。一方、アサリの増やし方を真剣に考えている人たちがいる。わが水産実験所の高橋君や、卒業生で京都府に勤める谷本君である。それぞれにアイデアを持ち寄れば、アサリのために何かできるのではないか。そんなことを考えて、市民公開フォーラムを企画した。
アサリを増やすには、アサリだけ見ていても始まらない。そんな思いから、潜って見てきた水中の様子を筆者が語り、また舞鶴と気仙沼で開催された環境教育の体験談を、京大大学院生の熊谷君が紹介する。
日時は3月9日午後1時、場所は舞鶴市政記念館。心の中の海だけ持って、聴きに来て頂ければ幸いです。
写真=2007年5月14日、舞鶴市長浜の波打ち際で見つけたアサリ。
|