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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩138
−マツダイ− 見事な擬態でとびはね逃げる

 年内最後となる臨海実習が、先週末で終了した。今回は北海道から鹿児島まで全国の大学から11名の学生が参加し、舞鶴をベースに海の生物と環境について学んだ。実習開始直前には台風が当地を直撃し、実験所の施設に多少の被害が出たものの、無事に実習を行うことができた。
 実習4日目の魚類相調査は、高浜町の城山公園で行った。地元の方々が台風後の浜清掃をしている最中であり、恐縮しながらの実習であった。その際、福島県の大学から参加していた学生(女子)が、「こんな魚が獲れました」と見せてくれたのが、写真のマツダイだ。網も使わず、手づかみで捕えたというからすごい。筆者は若狭湾でこれまで潜水中にマツダイを見たことがない。他にも捕まえたという学生がおり、この海を潜り続ける者として、その姿を水中でとらえられなければ、「末代の恥」と思い、血眼でこの魚を探した。
 ようやく見つけた個体は、見事に木の葉に擬態している。そして撮影のために近づくと、カエルのように水面をとびはねて逃げる。なるほど、これまでの潜水中、海底や中層の魚を追うあまり、見落としていたわけだ。
 マツダイは、稚魚のうちはしばしば流れ藻とともに漂流する。通常は沖合を漂うが、今回は台風で浜へ吹き寄せられたのだろう。成長すると1メートルにもなるという。以前、冠島へ向かうボートから見たマツダイは、体長が50センチほどあって、松の丸太が漂うかに見えた。「松鯛」と呼ばれるゆえんだ。
 白身で美味な魚らしいが、鮮魚店で見たことはなく、食する機会もない。比較的まれな種類であるようだ。これは、擬態する魚の運命とも言える。木の葉に化けて、見つかったらカエルとびで逃げる、などという奇策も、あまねくはびこれば、捕食者が学習するため通用しなくなるのだろう。
写真=落葉に擬態するマツダイ。2013年9月20日、福井県高浜町城山公園前の水面直下にて。水面に映る影もまた、捕食者を混乱させる。
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