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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩148
−ホシササノハベラ− 地史背負う威厳漂う魚

 若狭湾で見られる主なベラには3種類いる。数が多い順に、茶色または青緑色のホンベラ、白地に黒い線のキュウセン、そして、これらよりは幅広で赤または青色のホシササノハベラとなるだろう。3種のベラは、性質も少しずつ違う。水中で貝を割って餌付けすると、まずホンベラ、続いてキュウセンが集まり、先客を追い散らしてホシササノハベラが餌を独占する。他のベラよりも我が強いこの魚、群れではなく単独で行動するのが常だ。また、水温の低い時期には、他の2種は見られず、本種だけが活動している。  よく釣れる魚でもある。餌だけ奪って逃げ去ることは、もっと多いことだろう。若狭湾の数ある魚のうち、味のランキングから言うと、下位レベルと筆者は評価している。  ベラ科の魚の多くは、成長につれて雌から雄へと性転換する。本種も、赤い体色の雌から青い雄へと変わる。なお、幼魚は黄色である。  笹の葉に似た形のベラということでササノハベラと呼ばれていた魚の中に、2種類の異なる模様の魚のいることが、17年前に記載された。当時、京大の大学院生だった馬渕浩司さんの研究テーマである。内湾に多くいて白班のあるのがホシササノハベラ、太平洋側の磯に多く赤味の強いのがアカササノハベラと命名された。日本海で見られるのはもっぱら、ホシササノハベラであるとのこと。  遺伝子の詳細な解析により、上記2種が分化したのは約600万年前と推定されている。当時、日本列島は北端と南端で大陸とつながり、日本海は巨大な湖となっていたため、ここで固有の魚がいくつも進化した。その1つがホシササノハベラであるという。気性は激しく味はイマイチでも、日本海の地史を背負ってきた魚として、それなりの敬意を払いたい。
写真=2006年8月13日、高浜町音海の学校下、水深8メートルにて見つけたホシササノハベラ
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