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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩149
−タコノマクラ− 痛そうな枕…あくまでイメージ

 舞鶴水産実験所の大学院生のA君は、ウニやヒトデの骨格標本を蒐集していた。学生室の書棚に並ぶ白い殻の中で、ひときわ存在感があったのが、タコノマクラの標本である。花弁模様がくっきりと浮かび上がり、海を想起させるオブジェとなっていた。
 タコノマクラは、砂地に生息するウニの仲間である。表面には細かなとげが多数あり、触るとざらざらしている。枕にして寝るには少々堅いし、ちくちくもするが、頭の柔らかいタコであれば平気なようで、実際、これに頭を寄せて昼寝するタコを潜水中に見かける。というようなことは筆者の経験ではなく、あくまでもイメージからの命名であろう。ちなみに名付けの親は、明治時代、東京帝国大学の臨海実験所で技官をされていた青木熊吉さんという方だそうだ。
 英語ではこの類をsand dollarと呼ぶ。砂の中の1ドル銀貨というところか。「蛸の枕」ほどに夢はなく、多分に即物的である。
 英名の示す通り、本種は砂地の海底に生息する。ウニの類とはいえ、食用にはならない。若狭湾では、舞鶴湾口の瀬崎や冠島の宮前沖、そして写真の宮津市島陰あたりでよく見る。上面にはしばしば、貝殻を乗せてカモフラージュしている。カワハギのような魚にかじられたり、カニに割られることを防ぐためであろう。
 海岸を歩いていると、本種の殻を見ることは多いが、たいてい割れているか、一部が欠けている。時化の後を狙えば、死にかけの個体が海岸に打ち上げられていることがあるので、これを持ち帰り、水道水で洗ってから塩素系の洗剤に漬け込み、再び洗い流すと、大変綺麗な置物ができる。漁師さんの底曵き網でとれた本種も、同様に加工すれば、ちょっとした土産物になるのではなかろうか。
写真=2013年8月26日、宮津市島陰の水深4メートルで見つけた直径10センチほどのタコノマクラ
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