ヒトデはアサリやハマグリなどを食べてしまうため、漁師さんの間では嫌われ者だ。北海道では、ヒトデを駆除してからホタテガイを放流したらうまくいった、という話もある。しかしヒトデには、死んだ魚を食べてくれる海の掃除屋さん、という側面もある。
京大4回生の坂本さんは、ヒトデの研究をしている。先日、船での調査が荒天のため中止になったといって、実験室でヒトデの解剖をしていた。そこを通りがかった筆者が、「ヒトデって、ウニの親戚みたいなものだから、卵巣はウニと同じ味がするらしいぞ」と、とあるゲテモノ食いのホームページで拾ってきたうんちくを披露すると、「じゃあ、食べてみますか」と坂本さん。それぞれひとつまみずつ試食することになった。ヒトデの卵巣は、まず舌に触れた瞬間にぴりりときて、奥歯でかむと数の子に似た歯ごたえがあり、コノワタに通じる風味もあるのだが、口に入れて2秒くらいしてから,強烈な苦みが来る。実験室の流し台で、当分うがいをしなければならなかった。
舞鶴湾内に特に多いのは、マヒトデとイトマキヒトデの2種類で、われわれが食べたのは前者だ。マヒトデはサポニンという毒をためるため生で食べてはいけないし、さらに由良川の河口に多いヒラモミジガイというヒトデはフグ毒のテテロドトキシンを蓄えるという。マヒトデを食べて水中散歩のネタにするくらいならまだいいが、あれがヒラモミジガイなら水中散歩を前号までで終わらせていたかもしれない。いずれにせよ、今度魚に生まれ変わっても絶対ヒトデは食べないと思う。
さて、来る6月26日土曜日、中舞鶴の中央公民館にて講演会をさせて頂くことになった。荒天でテニスの予定が流れ、自宅のテレビは修理中、しかも携帯電話の電池切れ、という比較的お暇な方も、そうでない方も、是非お越し下さい。
写真=長浜の水深5メートル、餌のムラサキイガイをあさるイトマキヒトデ(左)とマヒトデ(右)
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