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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩31
−「ブリ」− 出世魚、日本列島を大回遊

 舞鶴のスーパーでは、ブリの若魚であるツバスが300円ほどで売られている。「ツバスって、ブリと同じ魚なの?」と驚かれる読者は、ある意味正しい。体長20―30センチのブリをツバスと呼び,この頃はまだあまり脂は乗らずあっさりしている。これがハマチと呼ばれる40センチサイズでだいぶ食べ頃となり、50センチを越えてブリと呼ばれるようになると確かに旨いが、逆にあまりに脂が乗ってくると、一度に沢山は食べられない。成長段階によって呼び名が変わり、味が変わり、そして値段も変わる。出世魚と呼ばれるゆえんだ。  ブリは日本列島の沿岸を大回遊する。南西日本のトカラ列島あたりに大きな産卵場があって、そこで孵化したブリの稚魚は、流れ藻に寄りつき、餌の豊富な日本海を、小魚を食べながら北上し、みるみる成長する。北海道沿岸までいって、そろそろ産卵場へ戻ろうか、と岸伝いに南下してきたところで、定置網に入ったブリが漁獲されるわけだ。去年・今年とブリが比較的豊漁なのは、去年カタクチイワシが多かったことによるのだろう。海の中は一つにつながっている。  流れ藻につくブリはモジャコと呼ばれ、九州の漁師さんはこれをすくって、養殖ハマチ用の種苗として出荷する。「九州でモジャコを獲りすぎるからブリが減った」と北陸の定置網の漁師さんは嘆き、「ブリを獲りすぎるからモジャコが減った」と九州の漁師さんは反論する。人工孵化稚魚が安価で生産できればこの問題は解決する、との声もあるが、個人的には、自然に増えるブリを少しずつ頂くのが理にかなっているように思う。  ブリのような魚を回遊魚と呼び、ダイバーの間ではちょっとした憧れのまとだ。そして運良くブリに出遭えた帰りには、スーパーの鮮魚コーナーのツバスにも目がいく。「もう少し大きくなればもっとうまいのにな」と思いつつも、結構な刺身がとれて1匹300円はやはりありがたい。頭と骨を大根や昆布と一緒に煮付ければ、ブリ大根のできあがり。週末のささやかな贅沢である。
写真=若狭湾の北端、越前岬沖水深12メートルでブリの群れに囲まれる。体長50センチ弱なので、鮮魚コーナー的にはハマチと呼ぶべきか
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