この冬も1月下旬から3月上旬にかけて、長浜・瀬崎・音海の3カ所で重点的に潜った。いずれの場所でも、例年より水温が1―2度高いため、真冬にもかかわらず南方系の生物がちらほらいる。そして高浜原電の温排水の影響が強い音海では、写真のエビスダイのような派手な魚にも出くわした。本紙ホームページの写真で見て頂ければわかるとおり、鮮やかにめでたく赤い魚である。
エビスダイは、暖かい海の岩陰などにいるのが普通だ。この魚と近縁のアカマツカサやイットウイダイなどの魚は、ハワイに住んでいたころヤスで突いては食べていた。あまり美味ではなかったように思う。ところが図鑑によれば、エビスダイは白身でおいしいらしい。この写真を同僚の甲斐さんに見せたところ、「エビスダイなら、こないだ西舞鶴のスーパーで売られてましたよ」と教えてくれた。似たような魚でも、場所が違えば味が変わるものなので、日本海を北上して若狭湾まで来たエビスダイは案外美味なのかもしれない。ちなみにハワイでは、ブリに近縁のカンパチは、寄生虫が多いためほとんど食べられていない。
温暖化が進んで、舞鶴で獲れる魚の種類が変わってしまったと嘆く声も聞く。だからといって、地元の海や川の環境をおざなりにするのはいただけない。これまで食べなかった種類でも意外に旨い魚もいるかもしれないし、かつてたくさんいた魚が再び戻ってきたときに、迎えてやれる環境を大切にしたいと思う。
瀬崎や長浜でこの冬潜っていて気づいた、良い知らせもある。アユの仔魚を例年になく多数見かけたことだ。アユは晩秋に生まれてすぐに海へ下り、翌春に川をのぼる。数年来沿岸を占拠していたクラゲが昨年は激減しており、そのおかげで海にすむアユ仔魚の生き残りが良かったのかもしれない。この春には、これらのアユたちが大挙して舞鶴の川を上ってくれることと信じたい。
写真=体長約23センチのエビスダイ(音海の水深1メートルにて)
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