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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩38
−「クサフグ」− 膨れる姿が愛らしい

 舞鶴湾で釣りをしていて、「またこいつか」というくらいよく釣れるのが、このクサフグである。釣り人には嫌われ者の筆頭かと思えば、子供の頃によく親に連れられて釣りに行ったという知人によれば、「ぷっくり膨れるクサフグはかわいいから当たり」だったのだそうだ。釣りの楽しみも人それぞれである。  これだけよく釣れるということは、海の中はクサフグだらけかというと決してそうではなく、潜って数えてみれば、マアジやメバルのほうがよほど多い。クサフグは、釣られやすい魚なのだ。  クサフグには毒がある。そのため、たいがいの敵には食われる心配がないからこそ無防備で、釣られやすいのだろう。九州では,乾燥させたクサフグを畑にまいて,鳥や猫を避けるための農薬がわりに使っているところもあるという。毒は内蔵と皮に集中しているので、ていねいに(もちろんプロの手で)さばけば、身は食べられる。それにしてもあまり高級食材ではなく、筆者が行くような居酒屋のメニューでフグの唐揚げとして出てくるのにクサフグが使われている程度だ。  通常、クサフグは沿岸の浅いところに点在して棲息しているが、初夏の海水浴場の沖で潜ると、おびただしい数がかたまって砂の中にひそんでいるのをよく見かける。おそらく夕方になると、浅いところへ来て産卵するのだろう。学生の頃、三浦半島にある東大臨海実験所の前の海でクサフグの産卵を見た。大潮の日の夕方,波打ち際でばしゃばしゃと水をはねかせて産卵していたのを憶えている。しかし若狭湾のように干満の差が小さいところでは、それほどドラマチックな産卵はしていないのかもしれない。  大浦半島の三浜あたりで、8月に入ってから波打ち際で網を曳くと、1センチにも満たない小さなクサフグがたくさんとれる。小さいながらも膨れる姿がなかなか愛らしい。
写真=神崎海水浴場の水深1.5メートルで砂に潜るクサフグ。体長は10センチほど。撮影場所は由良川河口に近いあたり
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