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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩41
−「シロギス」− 大物を“肘たたき”と呼ぶ

 夏の夕暮れ時、浜辺から投げ釣りをして釣れる代表的な魚が、このシロギスである。昼間はビーチで泳ぎ、磯に遊び、そして夕暮れにはキス釣りをする。日本の夏のぜいたくな時間の過ごし方だと思う。シロギスの好む場所は、砂か泥の海底で、近くに岩場もあり、川もある、そんな典型的にして失われつつある日本の磯浜の海岸だ。  シロギスはときに群れをなし、ときに単独で、海底の広い範囲を絶えず泳ぎまわり、ゴカイなどをほじくっては食べている。底からあまり離れて泳ぐことはない。したがってシロギスを狙って釣るときは、ゴカイをつけた仕掛けをなるべく遠くまで投げ、そして海底を這わせるようにして巻き上げる。釣りをあまりしない筆者であるが、学生時代に友人に投げ釣りを教わり、初めて釣れた魚がこのシロギスだったのは想い出深い。そのとき釣ったシロギスは、金網で塩焼きにして食べた。あっさりした白身で、とてもおいしかった。初めてのキスの味はあっさりめ、というところか。大きなものは刺身で、また小ぶりなものは塩焼きや天ぷらが合う。  30センチを越えるような大型のキスを、釣り師たちは「肘たたき」と呼ぶ.釣り上げた魚の口を持てば、しっぽで肘をたたかれるからだそうだ。筆者が釣ったシロギスは、せいぜい手首をたたかれるくらいだったと思う。舞鶴湾でも、かつては肘たたきの大物キスが釣れたのに、と嘆く釣り人もいる。大物は減ったかもしれないが、舞鶴湾内にもまだまだシロギスはいるし、また舞鶴から宮津にかけての海岸は、近畿のキス釣り師の間では著名な好漁場である。失われた過去を嘆くよりも、今残された自然に親しみ、次の世代へと手渡してゆくことが大切だと思う。
写真=シロギスの群れ。宮津市越浜の水深2メートルにて
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