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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩43
−「メイタガレイ」− 系統的にアジに近い異体類

 メイタガレイは、舞鶴湾内ではごく普通に見られるカレイである。もっとも、魚屋さんの店頭に並ぶことはあまりない。漁業の対象になるカレイは、水深50メートル以上の海から底曳き網で捕られる種類が多いからだ。  ヒラメは刺身で食べることが多いのに対して、カレイは通常煮付けか唐揚げに調理される。これは、ヒラメは生のままでも日持ちがしやすいのに対し、カレイは鮮度の落ちるのが早いためであろう。海の中では、小魚を主な餌とするヒラメは、餌に出会わなければ数日も断食状態になる。一方カレイはゴカイや貝類など、雑多な餌を終始食べ続けるタイプであるため、酵素の活性が高く、したがっていたみやすいのかもしれない。  カレイもヒラメも、海底生活に適応するため、体が平べったくなり、眼がどちらかに移動している。でもそもそも、なぜ眼が片側へ移動する必要があったのかは謎である。というのは、海底生活をする他の魚類、たとえばアンコウやエイ、コチなどはみな、両眼とも体の上方に移動して腹ばいで生活しているからだ。なぜカレイやヒラメだけ、体を横たえるようになったのだろうか。  この謎の答えは、カレイ・ヒラメを含む異体類が系統的にはアジに近いということにありそうだ。アジの仲間は稚魚の頃、流木やクラゲなど浮いている物に体を触れるようにして寄りつく性質がある。流木やクラゲは年によっては全然流れてこないかもしれない。そこで、体を寄り添わせる物が見つからないときに、この性質を海底に対して示したのが、カレイのご先祖様なのではないか、というのが筆者の説である。証拠は、まだない。食卓に並ぶカレイとアジでは随分と姿が違うが、カレイの稚魚とアジの稚魚では結構似た習性があるのではないか? そんなところから、この仮説に切り込んでみたいと思っている。
写真=舞鶴市長浜の水深6メートルで見つけたメイタガレイ。体長20センチ
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