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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩48
−「オキエソ」− おいしそうなかまぼこに見える

 舞鶴に来て間もない頃、テニスクラブの友人に、「舞鶴のおみやげで何かお勧めはありますか」と尋ねたところ、「そりゃ、かまぼこがええわ」との答えが返ってきた。「かまぼこかぁ」とあまり乗らない返事をしていた、当時の自分は浅はかだったと思う。最近になって、舞鶴産のかまぼこを初めて食べる機会があり、衝撃を受けた.舞鶴のかまぼこは、一言で表現するなら「活きた魚の味がする」と思った。聞くところによると、冷凍ではなく生の魚を使うのが秘訣だそうだ。  さて、そんなかまぼこの材料としてよく使われるのが、エソの仲間だ。写真の魚はオキエソといって、かまぼこを始めとする練り製品の材料として利用される。エソの仲間は、たいてい海底の砂や泥にもぐったまま、頭だけ出して、餌になるような小魚を待ち伏せしている。そんなところを通りがかった筆者も,砂の中から突然飛び出す大きなエソに肝を冷やすことがしばしばある。  今回はしかし不意を打たれることもなく、接近して写真を撮ることができた。水温はまだ低いため、エソの活動がにぶく、飛び出すのが億劫だったのだろう。接近して見るほどに、頭の上についたギョロリとした眼と、巨大な口に並ぶ細かく鋭い歯は、捕まる小魚の気分にならずとも、かなりヒヤリとさせるものがある。  エソは、煮たり焼いたりして食べるには小骨が多すぎる。そのため、かまぼこなどの練り製品に加工されることが多いのだろう。以前、調査中に釣れたエソを、実験所の大学院生がすり身にして魚団子のスープを作ってくれたことがある。これまたたいそう美味であった。それにしても、舞鶴産のかまぼこを食べて以来、海の中で見かけるエソが、かまぼこに見えて仕方がない。
写真=高浜町音海の水深5メートルの砂地にもぐっていたオキエソ。体長32センチ
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