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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩49
−「モズク」− 日本人の長寿の源の一つ

 モズクは、ホンダワラ類の海藻の上に生える。藻に付くから、モズク、なのだそうだ。全国で流通しているのは養殖されたオキナワモズクという種類が多いが、ここ舞鶴では春から夏にかけて、若狭湾産のモズクがスーパーで売られている。オキナワモズクよりも細く、歯ごたえが良いとされる。海のおだやかな日に、漁師のおかみさんらが刈り取ったものが、塩漬けや3杯酢漬けなどで出荷される。  モズクという食べ物について、大学に入るまで知らなかった。あんなにおいしくてヘルシーな食品を、人生の最初の20年間知らずに過ごしたのはちょっと損をした気がする。その借りを返すべく、シーズン中には週に3日くらいの割合でせっせとモズクを食べている。モズクをはじめとする海藻類は、低カロリーにしてビタミンやミネラルが豊富である。日本人の長寿の源の一つと言えるだろう。個人的には、塩蔵のものを15分くらい塩抜きしてから、大さじ3の酢と小さじ1の醤油で食べるのが好きだ。天候の良くなるこの時期、つい外で動きまわりすぎて溜まった疲労を、酢の味が癒してくれる。  水温14度に満たない4月の海でも、ホンダワラの林は、小さなエビやら稚魚やらの格好のすみかとなっている。そんなホンダワラの上にまとわりついて生えているのがモズクだ。網の目のように枝分かれした、糸状体(しじょうたい)と呼ばれる構造を、おぼろげな粘液がおおっている。小鉢の中では深緑色のモズクも、水中で広がると、ごく淡い緑褐色に見える。実のところ、モズクを水中で観察するのは今回が初めてで、これが本当にモズクなのか、今ひとつ確証がない。そこで、食べて確認することにした。レギュレーターを口からはずし、ひと束ちぎったモズクを吸い込み、噛んでみる。しゃりしゃりとした歯ごたえは、確かにモズク。しかしいかんせん、水中で食べたモズクは、海水の味しかしない。モズクはやはり、酢の物に限る、と思った。
写真=ホンダワラの上に生えるモズク。音海の水深1メートルにて
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