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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩53
−「ウスユキミノ」− 冠島近くの妖しい生物

 西舞鶴のダイビングショップでガイドをしておられるヒゲ仙人こと京極さんから、「冠島の近くで、殻を持っとって泳ぎ回る妙な生き物をつかまえたんやけど、名前を調べて貰えんやろうか」との相談を受けた。持ち込まれたサンプルは氷漬けで、2センチばかりの薄い殻の間に、オレンジ色の身がはさまれている。多分二枚貝だろう、ということは筆者にもわかる。  大学院生の力も借りつつ図鑑で調べた結果、ウスユキミノという貝であろうということになった。泳ぎ回るために身軽にしたのか、殻はごく薄い。この貝の泳ぐ様子をぜひ見てみたいと思い、休暇をとって冠島まで行ってきた。  なるほど、京極さんの言う通り、水深7メートルくらいのところで岩をひっくり返すと、この不思議な貝が飛び出して、すばしっこく泳ぎ回る。そして泳ぎ疲れると、貝を開いたまま、びろびろを上にして静かに横たわるではないか。これが何に見えるかは人それぞれだろうが、魚の心になりきった筆者には、イソギンチャクにしか見えない。イソギンチャクの触手には毒があるから、こんな形をしていれば魚は怖がって近づかないのだろう。試しに、生け捕りにして持ち帰ったウスユキミノをクロダイの水槽に入れたところ、何でも食べるクロダイも、泳ぎ回って止まればイソギンチャクになり切る奇妙な生き物に、恐れをなしているようだった。  このウスユキミノ、京都府立海洋センターのトリガイ養殖グループでは、養殖の邪魔者としてマークしているらしい。トリガイ養殖のカゴにこの貝が侵入して、トリガイのちょうつがいの部分に傷をつけるため、ゆがんだ形のトリガイになってしまうとのことだ。  いろんな生物に出会ってきたが、これほどまでに妖しい形状の生物との対面は初めてかもしれない。そんな不思議をたたえた冠島周辺の海にはまた、底知れぬ魅力がある。仕事で潜り、遊びで潜り、夏はまだまだ終わらない。
写真=岩の下から出てきたウスユキミノが泳ぎ回ったあと、イソギンチャクの擬態をしつつ隠れようとしている様子。冠島の宮前、水深7メートルにて
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