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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩60
−「ホウボウ」− 稚魚の胸びれに目玉模様

 ホウボウは素敵に奇抜な形をした魚だ。写真のような稚魚は、初夏に若狭湾の綺麗な砂浜で泳げばよく見かける。普段は扇のような胸びれは閉じ、胸びれの前方が変化した3本の指で砂をまさぐり、餌を探している。この指には人間の舌のように味を感じる感覚器があるらしい。海底を方々せわしなくはい回るから、「はううお」すなわちホウボウと呼ぶ、という説もある。そして敵に出会うと、写真のように胸びれを拡げる。稚魚の胸びれには目玉模様があるため、この写真の右下から見れば、コチなどの大きな魚の顔にも見えるだろう。敵がひるんでいる隙に、胸びれをグライダーの翼のごとく使って泳ぎ去る。  砂地でホウボウの天敵になりそうな魚といえばヒラメである。そしてヒラメをだますための目玉模様が、ヒラメの天敵のコチに似せたものだとしたら、なかなか巧くできている。  ホウボウは成長するにつれて夜行性になるし、棲息水深も深くなり、体の色は赤みを増す。胸びれの目玉模様は消えて、青く美しい斑点だけが残る。あの美しい斑紋が何のために必要なのか、筆者にはわからないが、夜間潜水中にホウボウに出遭った時のときめきは忘れがたい。  ホウボウはまた、声を出して鳴くことでも有名だ。釣り上げられてからも「ほぅほぅ」と鳴くので、ホウボウという名前がついた、ともいう。  さて、ここからが本題。最近、舞鶴のスーパーではホウボウがとても安くで売られているので、これを食べない手はない。刺身や煮付け、味噌汁といった料理でももちろん楽しめるが、筆者のイチオシはアクアパッツァという料理だ。フライパンにオリーブオイルを熱し、ニンニクと唐辛子を炒めたあと、内蔵と鱗をとって塩コショウしたホウボウを丸ごと焼き、アサリを入れ、白ワインと水を入れてフタをして強火で蒸し焼く。火が通ったらトマトやケイパーなども入れて軽く煮詰める。ごつごつした骨からは、たまらなく素敵なダシが出る。
写真=餌さがしをやめて警戒モードに入ったホウボウの稚魚。宮津市越浜の水深2メートルにて
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