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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩61
−「カサゴ」− 親しみを感じる表情

 カサゴは若狭湾の岩場でごく普通に見られる魚である。舞鶴ではガシラの名の方が通りも良かろう。写真のカサゴは、京都府立海洋センターの竹野さんのお誘いで、舞鶴湾口近くのイワガキ礁で潜らせて頂いたときに撮影したものだ。水中にジャングルジムみたいな構造があって、その上にイワガキがすくすく育っている。同センターの白藤さんがイワガキの成長を確かめている間、そこにどんな魚が集まっているかを筆者が記録した。水温14度とまだ寒いため、魚は全部あわせても10尾しか見つからない。でもそのうちの3尾は、立派なサイズのカサゴだった。  カサゴは岩場の魚であり、砂地にぽつんといることは、まずない。イワガキ礁にいたカサゴたちも、礁の下のスペースをすみかにしているようだった。イワガキが海のプランクトンを餌にして水を浄化しながら成長するだけでもありがたいのに、イワガキ礁に生えた生物を求めて小魚が集まり、そして小魚を狙ってカサゴまで来てくれるなら、頼もしいことだ。  カサゴは、水温の低い時季にも、比較的活発に餌を食べる。だから、5月の連休頃の磯釣りでも、運が良ければ立派なカサゴが釣れる。以前、音海で潜っていたときに、水中に落ちていたエビの形のルアーをカサゴの目の前で引き回してみたことがある。ルアーは水中では見事にエビのような動きをしてくれるのに、カサゴは一瞬それを追うそぶりを見せるものの、食いつくことはなかった。  いろんな魚の心をさぐってみたい筆者だが、カサゴには他の魚以上に、心を読みとりたくなる表情があると思う。大きな口ときょろきょろ動く目に、人間を、あるいは自分を見出すからだろうか。親しみを感じる魚の話題なのに、例によって最後は食べてしまう話で恐縮だが、刺身や唐揚げ、味噌汁の具等、応用範囲の広いこの魚、個人的には濃い目の味に煮付けてネギを添えてあげるのが一番だと思う。
写真=筆者と目が合い、イワガキ礁の土台(水深13メートル)に隠れる寸前のカサゴ。体長15センチ
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