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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩80
−「ホタテウミヘビ」− とぼけた目がダイバーに人気

 先日、舞鶴市内の千歳で定置網漁をしているという方から、魚に関する問い合わせの電話があった。「ウナギに似た見慣れん魚が、3度ほど定置網に入った。ウナギと違って体は灰色で、鼻先がとがり、胸びれは丸い。」との漁師さんの正確な描写を聞いた筆者は、「それはホタテウミヘビという魚でしょう。」と即答した。この魚、ヘビという名がつくが、ウナギやアナゴに近い魚である。胸びれがホタテガイのような形をしているため、この名がついたのだろう。  ホタテウミヘビは、一般の方にはもちろん、漁師さんにもあまりなじみのない魚であるが、ダイバーには大変人気がある。昼間は大体同じところにいて、とぼけた目をして砂から顔を出している(写真1)。舞鶴ダイビングの京極さんによれば、「冠島のホタテウミヘビは、のど元をくすぐられると喜ぶ」のだそうだ。しかし、あまりいじられると,砂の中に潜ってしまう。  夜間、この魚を初めて見たのは、魚たちの夜の行動を観察するために、深夜12時前後に音海で潜水したときのことだ。闇夜であったため、多くの魚は岩陰で寝ており、水中ライトに照らされてもあまり動かない。ところがこのホタテウミヘビだけは、餌を求めてか泳ぎ回っていた(写真2)。  魚たちの多くは餌を目で確認して食べる。また、捕食者を見つけて避けるのも、視覚に頼っている。そこで、真っ暗な状態では、どこかに隠れていたほうが無難だ。ホタテウミヘビのような魚は、おそらく嗅覚で餌を見つけるのだろう、夜間に徘徊して餌を探す。  さて、電話をくれた漁師さん、「これがもし海ウナギやったら、高値で売れるらしいんやけど。」とのこと。ホタテウミヘビを試食してみて、もし旨ければ、本種を「ホタテウナギ」と改名してもらって、売り出すことも可能かも?
写真1左=ホタテウミヘビ、昼の顔。2008年10月、舞鶴市竜宮浜の水深13メートルにて
写真2右=ホタテウミヘビ、夜の顔。2003年10月、高浜町音海の水深4メートルにて

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