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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩87
−「アカエイ」− スーパーで販売に驚く

 アカエイは、若狭湾各地の砂地の海底でしばしば見られる魚だ。砂を少しかぶってじっとしていることが多く、撮影のために近づくとゆっくりと舞い上がる。その姿には、蝶を思わせる優雅さがある。  何年か前の夏、学生たちと由良川河口に近い神崎で網を曳いていた際、海水浴場の駐車場係のおっちゃんから、「エイはおらんか? 子供たちが踏んづけて刺されんか心配や」と訊ねられたことがあった。おそらく海水浴シーズン以外は漁師さんでもあるのだろう、アカエイの毒についてご存じで、事故を心配されるのはごもっともだ。  確かに砂浜の沖にアカエイはいるし、踏んだら刺されることもあろう。でも、ひとの背の届く深さにまではアカエイはあまり入って来ないし、踏まれる前に普通は逃げる。シュノーケリングでそこらじゅうを泳ぎ回ってやっと見つかるような魚をたまたま踏みつけてしまう可能性よりは、帰りの信号待ちの間に車で追突される危険性の方がよほど高いと思う。とはいえ、アカエイのしっぽの付け根に毒とげがあることを知っておいて損はない。釣り上げたアカエイを安易に踏みつけたりしたら、やはり返り討ちにあうだろう。  アカエイをはじめ、サメやエイの仲間は、しっかりした骨を持っておらず、軟骨魚類とよばれる。また、体液成分が普通の魚と異なり、魚肉からアンモニア臭が生じやすい。  そんな半端な知識を持っていたため、舞鶴のスーパーの鮮魚コーナーで普通にエイが売られているのには驚かされた。売場で食べ方を訊ねたところ、「そりゃ、煮付けに限る」とのことだったので、甘辛く煮付けて頂くことにした。調理中には不思議な臭いもしたが、仕上がった煮付けの風味にクセはなく、かなりいけた。骨がない魚というのは大変食べやすいし、いわゆるエイヒレの食感が楽しめるのも良い。
写真=体長20センチほどのアカエイの幼魚。舞鶴市神崎の水深2.5メートル付近にて、2009年6月に撮影
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