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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩89
−「アンドンクラゲ」− 行灯にそっくり

 今年の春、大学で「水圏生物学入門」という講義を受け持った際、受講希望の学生に果たした事前レポートの中にこんなのがあった。「子供の頃、海水浴場で長い線が4本平行に並んだような生物を見つけた。親に話しても信じてもらえず、小さい時のことなので見間違いだと思うのですが、いまだに気になっています。」これを読んですぐにピンときて、講義の冒頭で紹介したのが、ご覧のアンドンクラゲの写真である。平行線に見えるのはクラゲの触手、そして四角い胴体がその先にある。子供の観察力というのは、案外正確なものだ。  アンドンクラゲは、昔の人が夜道を照らすのに使った行灯(あんどん)に形が似ているのでこの名がある。ちなみに昼行灯(ひるあんどん)というのは、筆者のようにぼんやりして役に立たない者を指す、ということを、子供の頃、親に教わった記憶があるが、それはさておき、このアンドンクラゲに刺された痛さは、ぼんやりした筆者でも水中で飛び上がるくらいだ。  アンドンクラゲは、日本各地でお盆を過ぎた頃に流れ着き、海水浴客には相当に迷惑な存在だ。透明で触手が見えにくく、しかも写真のように浅いところにたまっていたりすると、かなりタチが悪い。しびれるような痛さから、電気クラゲと呼ぶこともある。  もっとも、水中マスクさえ使いこなせば、クラゲなど恐れるほどのものでもない。そもそも写真のアンドンクラゲにしろ、今年も大発生してはなはだ迷惑なエチゼンクラゲにしろ、本来は海の生態系を構成する一員に違いない。また、水中観察を続けるうちに、あるいはクラゲ対策の妙案も浮かぶかもしれない。今年の夏は短かった、と嘆くなかれ。ダイバーにとって、これからがシーズン本番。クラゲなどひょいひょい除けて、水中散歩を楽しみたいものだ。
写真=舞鶴市竜宮浜の水深50センチにて、2008年8月に撮影したアンドンクラゲ。傘の長さは3センチ、触手は20センチほど。入江にうようよたまっていたが、もちろん気にせず海に入った
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