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京大水産実験所・益田玲爾さんの若狭湾水中散歩95
−「ナマコ 」− 海藻域に多く生息








 舞鶴市と京大水産実験所との共同で、舞鶴湾にナマコを増やそうというプロジェクトが昨年末から始まった。その一環として、本プロジェクトで雇われた研究員の南君と一緒に、冬の若狭湾を潜り歩いている。今回は、そんなナマコ目で見てきた旬の若狭湾について紹介したい。  ナマコにもいくつかの種類がある。海の幸に詳しい方なら、「赤と青がいるよね」といった知識をお持ちかもしれない。赤ナマコ(写真1・左)は外海に面した岩場に、青ナマコは波穏やかな砂泥の海底に多い。本コーナーで以前にもナマコを紹介したことがあり、そのときの写真は舞鶴湾内の青ナマコであった。ただし、赤と青のナマコの区別は微妙であり、図鑑では両者を含めてマナマコとしているのが普通である。  福井県の音海では、これら青や赤のマナマコとは異なる、トラフナマコ(写真2・中央)という種類が優占している。本来は房総半島からインド洋・西太平洋に分布する種類で、熱帯のナマコである。寅年の今年だけ特別に冬の若狭湾まで来てくれた、というわけではなくて、高浜原電の温排水があるため以前から定着しているのであろう。  瀬崎では、さらに別の種類でニセフジナマコ(写真3・右)というのを多く見かける。図鑑によれば房総半島から九州まで分布とあり、やはり南日本のナマコである。  実験所で研究していた坂上君の修士論文によれば、マナマコの主な餌は海藻由来であるらしい。また、海藻の繁茂する海にナマコが多いことを、漁師さんは経験的に知っている。岩の上を掃除するように餌を食うナマコの姿を見ていると、ナマコは海藻と共生関係にあるように思える。岩に泥がたまると海藻が生えるには適さないが、ここをナマコが清めれば海藻が育つ。生長し、ちぎれ落ちた海藻の朽ちたものをナマコが食べて育つ。そんな自然の環が回るようにすれば、舞鶴湾のナマコも増えるのではなかろうか。
写真左から=写真1、マナマコ。いわゆる赤ナマコである。2010年2月、舞鶴市瀬崎の水深6メートルで撮影▽写真2、トラフナマコ。2010年2月、高浜町音海の水深4メートルで撮影▽写真3、ニセフジナマコ。2010年2月、舞鶴市瀬崎の水深10メートルで撮影
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