2006年も大詰めになって来ました。今年も色んなお客様との出会いがあり、楽しい1年でした。
そんな中でも、あるランチに来られたお客様のお話です。「タケウチさん、フランス料理とイタリア料理の違いって何ですか?」とそのお客様はお聞きになりました。その時、サービスを担当しているウチの嫁が「フランス料理は足し算のお料理です。華やかで、楽しいものです。」とお答えしたそうです。
その通りです。僕自信も今までそう思ってお料理して来ました。フランス料理は華やかで贅沢なもの、そして目に見える美しさと美味しさを併せ持つものであると…。それはなぜかと言うと、宮廷料理として贅の限りを尽くした時代を歩んだ歴史があったからです。
フランス料理と言えば何をおいてもやはりソース。ソースのベースになるのは丁寧にたくさんの時間と材料を使って取られた出汁です。その出汁を色々なお酒や香辛料でアクセント、そしてハーブ等で香りを付け、次に「煮詰める」というテクニックを用いて仕上げていくのです。この一連の作業を面白く、そして分かりやすく記した逸話があります。
それはブリヤ・サヴァランと言う人の書いた「味覚の生理学」と言う本の中にあります。ある所にスービーズと言う名の公爵がいました。彼がある日、晩餐を催そうと考えベルトランと言う名の料理長に献立を考えさせました。その献立の注文書の中にハム50本と言う欄がありスービーズ公爵は驚いて言いました。「何だ、ベルトラン!ハム50本とは浪費が過ぎるのではないか!オマエは、わしの連隊全員にご馳走を振舞ってやるつもりか!」
それに対してベルトランシェフ。「お言葉ですが、テーブルにはハムのお料理は1皿しか並びません。残りも色々な出汁や、料理の付け合せに使うのです。」それを聞いてスービーズ公爵。「ベルトラン!貴様は泥棒か、こんな注文は認められん!」と。しかし、ベルトラン。「お言葉ですが、公爵。私のやり方をご存知無いとお見受けしました。ご命令とあればこの50本のハム全て、小指ほどもないクリスタルの小瓶1本に入れてご覧に入れましょう!」と言ったそうです。
ちょっとナゾナゾみたいですがお分かりいただけましたか。うわぁああ、書き切れなさそうなので次回に続きま〜す!(次回の掲載は新年となる予定ですので、この新聞取っておいて下さいね。)
クリスマス告知です。レストランタケウチでは12月23日(土)・24日(日)・25日(月)の3日間クリスマスディナーをご用意してお待ちしております。お値段など詳しいことはお電話(62・4510)にてお問い合わせ下さい。お待ちしております。
竹内さんのホームページアドレスはhttp://www3.ocn.ne.jp/~takechef/
写真=料理人必携本。オーギュスト・エスコフィエのギード・キュリネールとそれの携帯版のレペルトワールという本です。宝物です。
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