皆様、新年明けましておめでとうございます。昨年よりの続きとなりますので、前回の内容を忘れた方はもう1度前回の新聞を取り出して、読み返してみてください。新年早々、お手数おかけしてスイマセン…。
50本のハム全部使って出汁を取り、小瓶に収まる量までその出汁を「煮詰める」と言う事なのです。この逸話の中に、僕の考えるフランス料理の錬金術的なカッコ良さみたいなものが詰まっているのです。
しかしこの様なお話を彷彿とさせるようなお料理も、時代のニーズとともに少なくなり、新しい時代のお料理にとって変わろうとしています。
それは科学的に分子レベルまで計算された「分子料理」というものであったり、新しい食感を提供出来る様なエスプーマやパコジェットという調理器具の導入や、昔からある料理を分解し再構築したお料理など、例を挙げればキリが無いほどです。
料理界に新しい動きがあってから随分になりますが、シェフの中にはこうした料理に否定的な人もいて迷走状態であることは確かではないでしょうか。ただ、これらのお料理は誰でも作れるものではありませんので、唯一無二的なカッコよさもありますね。
だから僕はこうしたお料理が大好きです。食べ手にまわっても面白いし、楽しいですもの。かといって、今の段階でタケウチでお出しする事はないです。このようなお料理に対して好意的ではありますけど、今はそこまで飛び越えて自分の料理を作りたくないと思っています。
修行中にシェフからよく言われた言葉が今の僕の料理の仕上げ方を支えています。それは「料理の出来上がり、着地点はしっかりとイメージしろ!」です。「10人の料理人が同じものを作っても一つとして同じ味にはならない」と言われるように、レシピの中のその行間に隠れた、自分だけのレシピを読み解きたいのです。
そしてここ舞鶴で取れる食材をフルに使い、果てる事無い探究心を持ってお料理していきたいと思います。
今年もビックリするような食材や、それに携わる人たちに出会えることでしょう。それが僕の料理する心を刺激し、突き動かすと思います。
ということで、今年もどうかレストランタケウチを宜しくお願いいたします。美味しいモノ作るぞぉ〜! 食べるぞぉ〜!
竹内さんのホームページアドレスはhttp://www3.ocn.ne.jp/~takechef/
写真=こちらも宝物本です。フランス料理の源流を訪ねて。写真もすごくカッコいい本です!
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