今回はスペインからはるばるやって来たイベリコ豚のお話です。このイベリコ豚は去年辺りからレストラン業界に一大旋風を巻き起こし、業界では時代のニューヒーローとなっている食材です。それが念願かなって、やっと今年に入ってタケウチにやって来ました。
豚と言えば皆さんご存知のとおり、お値段もリーズナブルで、夏バテ解消のみならず、冬のお鍋にも大活躍の食材です。ですから逆にいえば、レストランではなかなか扱いにくい食材でした。ところがフランスでは、古くから良く使われる食材で、腿肉は生ハム、頭はテリーヌ、血はソーセージにと捨てる所が無い位の有能食材です。
また一口で豚と言っても色んな豚があります。鹿児島の黒豚や中国の金華豚の様に地品種や純粋種の特徴が肉質や脂に良く表れているものと、白金豚や三元豚の様に色んな豚の品種の交配によって独自の豚を作ったもので、こちらはエサや飼育方法の違いが肉や脂に表現されます。大きくはこの2つに分ける事が出来ます。
今回のイベリコ豚は2種の交配で、主食はなんとドングリです。そしてイベリコの掛け合わせの割合が上がれば上がるほど高価になります。ですからイベリコ100%が1番高価なのですが、その分なかなか入手も困難になってくるわけです。しかし、なんとタケウチにやって来たイベリコはその100%! ほとんどミラクルです。ありがとう! 神様仏様です。
このイベリコ豚の特徴はとにかく脂身が旨い。味は濃いがサラリとした味わい。そしてドングリが主食の為、ナッツの香りもほんのりします。もちろん赤身もサシが入って良いのですがやっぱり脂身です。全体的な味の印象としては豚のような、牛のような…(チョットわかりづらいですが)。とにかく今まで食べてきた豚とは明らかに違う旨さです。そして冬に備えて目一杯栄養を蓄えるこれからの季節が脂がのって1番美味しくなるのです。
久しぶりにずっと店に置いておきたい食材の1つに出会えたのですが、売り切れ御免が心配な食材の1つでもあります。今の所、タケウチでは夜の一部のコースのメーンとしてイベリコ豚をお出ししていますが、コレも入荷次第の売り切れ御免になりそうです。
竹内さんのホームページアドレスはhttp://www3.ocn.ne.jp/~takechef/
写真=自家製のベーコンと鹿モモ肉の生ハムで取ったスープで作った、イベリコ豚と地取り野菜のポトフ仕立て
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