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NO.9 ニオイの記憶は墓場まで…   

 今回はニオイのお話…。ニオイにまつわるお話というのは過ぎた年月関係なく、恐ろしいほどリアルに覚えているものです。「楽」と「苦」、この対極にあるテーマでタケシェフ自身の死ぬまで忘れないであろうニオイにまつわるお話を。  まずは「楽」から。タケシェフが小学校の時までさかのぼる、27年前のお話です。  ある春先の下校途中のことです。天気の良い、絵に描いたような夕暮れ時。委員会か何かで遅くなったのでしょう、この日は珍しく1人で帰っていました。ある橋の所まで来たとき、暖かい風がフワーァーと頬にあたりました。太陽のニオイ。「気持ちいいなぁ!」   そして次には、何の花か覚えてはいませんが花のニオイ。「うわぁ、いいニオイやなぁ!」そして次に来た香りはナント!カレーのニオイです。「お腹空いたなぁ! 晩御飯何かなぁ…」こうして改めて思い出しても幸せですね、特にカレーの所が。  そして「苦」のお話。面白いことも辛い事も沢山あった15年前の修業時代。季節は冬。朝9時。しょぼ降り雨(もうこれだけでツライですね)。神社の門を曲がればあと50メートルで働いているお店です。神社を曲がる。50メートル、40メートル、30メートル…。香りキターッ! フランス料理には必要不可欠なフォンドヴォー(子牛の骨からとったダシの事です)の寸胴から立ち昇るニオイ。  今から始まる鬼のような忙しさが頭をかすめ、憂鬱な気分になったものです。それが自分でこうしてお店をしている今でも、冬のフォンドヴォーから立昇るニオイはあの日とシンクロし、何故か同じように憂鬱になるのです。  香りってスゴイですね! タケウチでも朝から夜まで色んな香りがします。朝はプリンのキャラメルを焦がすニオイやパンやケーキの生地の焼けるニオイ。スープ用に炒められる玉ねぎの甘いニオイ。鶏や海老のダシを煮込むニオイ。営業中はお魚、お肉、お野菜を焼く香ばしいニオイなど様々なニオイがします。  1日通して細かくニオイを数えれば50は軽く超えるでしょうね。タケシェフの良いお店の定義の1つは「このレストランはいつ前を通っても、いつもいいニオイがしてるな」です。ガンバロウっと!
 竹内さんのホームページアドレスはhttp://www3.ocn.ne.jp/~takechef/

写真=サクラエビのダシで煮込んだスルメイカの子。このサクラエビのダシを作るときもエビの焼けた香ばしいニオイがします。そしてイカを内臓ごと丸のまま煮込むので、甘いニオイと海のようなニオイがします
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